eぶらあぼ 2014.6月号
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40プラジャーク・クヮルテット&三輪郁★6月9日(月)・よみうり大手町ホール、13日(金)・京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ ●発売中問 KCMチケットサービス  0570-00-8255http://www.kojimacm.com 定評あるモーツァルトをはじめ、長く暮らし学んだウィーンの空気を運んでくれるピアニスト三輪郁。しかしもちろん、ウィーンの音楽にとどまらずレパートリーは多彩だ。6月にはチェコの名門プラジャーク・クヮルテットの日本公演で共演。東京、京都などでシューマンのピアノ五重奏曲を弾く。シューマンは、ウィーンでの学生時代、どっぷりハマった作曲家だという。 「ピアノ作品はほとんど弾いたという感じです。モーツァルト、シューベルトが私の軸だとすると、そのすぐ横にいる、大好きな作曲家。私の中ではみどり色のイメージなんです。それもライン川の川面に映る森の緑。だから動いている緑なんですね。いろんな風景や感情が、見る角度によってどんどん変わりながら過ぎて行く感じ。それはたぶん彼の心の起伏だったり、楽器の鳴らし方であったり。好きですねー、シューマン」 プラジャーク・クヮルテットとは2年ぶり2度目の日本ツアーとなるし、同クヮルテットのチェリスト、ミハル・カニュカとは日本のみならずプラハでも共演している。 「みんな普通の、いいおじさんたち。お酒もちゃんと飲むし(笑)。ベテランだけどフレッシュで、すごく生き生きとしています。それに、すごく柔軟な感性を持っているのです。音楽を使って遊んでいるというか、とても自由で、基本は守るけど、それ以外のところはぐにゃぐにゃ(笑)。そこまでやる!?という、ぎりぎりOKなところがすごく面白いです」 彼女自身、「ウィーンの音楽の最大の特徴もやわらかさ」と感じていたというから、もともとの相性もよいのだろう。 「でも、ウィーンを離れてから、それを忘れないようにと、逆にがんじがらめになっていたところがあって、そんな自分を解き放ってもらった気がします」 前回の共演はドヴォルザークだったので、チェコの伝統を盗んでやろうという気持ちも強かったという。 「でも、2度3度舞台を重ねるうちに、どこか私に主導権があるような様子を背中で見せてくれるというか、私がちょっと違うことを仕掛けると、にやっと笑いながらついて来てくれる感じです。でも彼らは彼らでちゃんと音楽を作っていく。そういうキャッチボールが、今回もとても楽しみ。彼らの持ち味を生かせる演奏になったらいいなと思っています。そして、やっぱり弦の国の人たち。楽器を鳴らすこと、楽器で“しゃべること”がとても上手です」 彼女がウィーンで身体に染み込ませて来た感性と、チェコの弦楽四重奏の伝統が交わり、互いが自由に“ぐにゃぐにゃ”に仕掛け合いながら高め合っていくシューマン。室内楽の定番曲に、心地よい刺激が吹き込まれそうな予感。取材・文:宮本 明シューマンはライン川に映る緑のイメージ三輪 郁(ピアノ)インタビュー 平日のお昼の1時間、ゆったりとした気分で楽しめる、第一生命ホールの『昼の音楽さんぽ』。第17回目となる6月の公演には日本を代表するプリマ佐藤美枝子が初めて登場する。予定曲目は、まず前半が日本歌曲。山田耕筰、中田喜直らの定番名曲とともに、唐木亮輔という作曲家の作品が並んでいるのが目を引く。佐藤が「いずれ脚光を浴びる作曲家」と語る若手だから要注目。後半は、ラヴェルの「ヴォカリーズ」や、これが初挑戦というデラックァ「ヴィラネル」など、フランス音楽が並ぶ。そして佐藤ランチタイムに聴く日本の歌とフランス音楽昼の音楽さんぽ 第17回 佐藤美枝子(ソプラノ)といえば、代名詞ともいえるのが「狂乱の場」の超絶技巧。今回はトマ《ハムレット》のオフィーリアのアリアを歌う。ピアノは達人・河原忠之。なお、もともと2,000円というリーズナブルな入場料だが、さらに「お友だち割チケット」という設定が追加され、3枚以上購入すると1枚あたり1,500円になるというからお買い得だ。友人や家族と一緒に楽しみたい方には吉報!文:宮本 明★6月6日(金)・第一生命ホール●発売中問 トリトン・アーツ・ネットワーク・チケット  デスク03-3532-5702  https://www.triton-arts.netⒸAkira Muto

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