eぶらあぼ 2014.6月号
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31★7月5日(土)、7日(月)、9日(水)・Bunkamuraオーチャードホール●発売中 問 Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999http://www.bunkamura.co.jp オペラ指揮者として国際的な実績を重ねている大野和士が、2008年から首席指揮者を務めているフランス国立リヨン歌劇場を率いて凱旋する。演目はオッフェンバック《ホフマン物語》。 このオッフェンバック唯一のオペラ、完成前に作曲者が死去、劇場の火災で初演譜が失われたり、20世紀末以降に手稿譜や焼けたと思われていた初演譜が発見されたりと数奇な運命を辿ってきたせいで、細部の異なるさまざまな版が存在する。今回の上演は2005年校訂のケイ&ケック版によるもの(さらに演出のペリーが改訂した台詞も加わるので、いわば最高の布陣でおくるリヨン歌劇場の自信作大野和士(指揮) フランス国立リヨン歌劇場 《ホフマン物語》「ペリー版」とも言える内容になっているという)。 ロラン・ペリーは、昨年のサイトウ・キネン《こどもと魔法》なども手がけている、世界中のオペラハウスから引っ張りだこの演出家。今回の舞台は、2005年に制作され、すでに十数ヵ国で上演されている、定評あるプロダクションで大野自身も絶賛している。 配役では、別々の歌手が歌うことも多い幕ごとの3人のヒロイン、オランピア、アントニア、ジュリエッタ、そしてステッラの女性4役を、パトリツィア・チョーフィが一人で演じるのに注目。主役ホフマンはダブルキャストで、メット育ちの躍進中のテノール、ジョン・オズボーンと、2004年オペラ・デビューの若手レオナルド・カパルボという二人の期待の若手実力派が歌う。 知的なアプローチが光る大野和士のオペラ公演を日本で体験できる貴重な機会は見逃せない。文:宮本 明大野和士ⒸFranchella Stoflethロラン・ペリーⒸPologarat Odessaパトリツィア・チョーフィジョン・オズボーン ベルトラン・ド・ビリーが東フィルの指揮台に立つ! これは楽しみな共演が実現した。ド・ビリーといえば、ウィーン放送交響楽団音楽監督として旋風重量級ダブル「英雄」プログラムベルトラン・ド・ビリー(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団を巻き起こし、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン・オペラなどからもたびたび招かれる旬の指揮者。一昨年はNHK交響楽団定期公演に来日して、しなやかで躍動感にあふれるシューベルトの「グレイト」他で好演を聴かせてくれた。 そのド・ビリーが東フィルで披露するのは、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」とR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」を組み合わせた重量級ダブル「英雄」プログラム。なんともゴージャスな演目だ。交響曲の歴史に新たな扉を開いた古典派の大作と、19世紀ロマン主義の締めくくりとなるかのようなシュトラウス最後の交響詩。ド・ビリーの棒のもと、“両雄並び立つ”コンサートとなってくれることだろう。実は同じダブル「英雄」プロを、今年2月に山田和樹が読売日本交響楽団で指揮したばかり。この偶然の一致にも軽い驚きを覚える。今年の東京の音楽界はヒーローの年なのか? コンサートとオペラの両輪で大活躍中のド・ビリーだが、今回の来日では先立って新国立劇場でシュトラウスの《アラベッラ》を指揮する。ピットに入るのは東フィル。オペラでじっくりと共演を重ねたうえで、ダブル「英雄」プロに挑むことになる。一段と相互理解を深めた名演を期待できそうだ。文:飯尾洋一第86回 東京オペラシティ定期シリーズ★6月2日(月)・東京オペラシティ コンサートホール ●発売中 問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jpベルトラン・ド・ビリーⒸMarco Borggreve

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