eぶらあぼ 2014.6月号
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179 2009年に結成された若手実力派サクソフォーン・カルテットの第2弾。収録曲はすべてフランス作品で統一されており、バロックから現代までカバーした、色彩豊かな仕上がりになっている。プーランク「ノヴェレッテ第1&2番」や、ドビュッシー「子供の領分」では、技巧的難所も軽やかに吹きこなしつつ、作品の裏に潜む皮肉や郷愁なども巧みに描出。「ノヴェレッテ第2番」では、ソプラノ奏者がソプラニーノに持ち替えているのも聴きどころだ。そして、ピエルネ、エスケシュといった現代作品では集中力がさらにアップ。精緻とスリルのバランスが絶妙なのが素晴らしい。(渡辺謙太郎)ル・バル/サクソフォーン・カルテット・アテナ◎プーランク:ノヴェレッテ第1番・第2番 ◎ラモー:ガヴォットと変奏 ◎ドビュッシー:子供の領分 ◎ピエルネ:民謡風ロンドの主題による序奏と変奏 ◎エスケシュ:ル・バル ◎プーランク:愛の小径サクソフォーン・カルテット・アテナ[塩安真衣子、江川良子、冨岡祐子、平賀美樹] ハンガリーを拠点に活動するピアニストの関野直樹による、「幻想」をテーマとしたアルバム。ピアノはベヒシュタインC234、極限まで音質にこだわったティートックスタジオでの録音。リスト「ダンテを読んで」冒頭の重音から、独特の温かい音色が強いインパクトを与える。ベートーヴェンの「月光」やショパンのノクターン第13番でも、暖色系の音と自然な息遣いでダイナミックに光と影を表現。ヘンデル第1作目のオペラである《アルミーラ》よりサラバンドとシャコンヌをリストが編曲した作品では、丸みのあるピアノの音と関野の堂々としたピア二ズムが相まって荘厳かつ華やかな世界が描き出されている。(高坂はる香)ファンタジック・ピアノ/関野直樹◎リスト:ダンテを読んで ◎ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」 ◎スクリャービン:同第2番「幻想ソナタ」  ショパン:◎幻想即興曲 ◎ノクターンハ短調op.48-1 ◎ヘンデル=リスト:歌劇《アルミーラ》よりサラバンドとシャコンヌ関野直樹(ピアノ) 京都市芸大と東京芸大で学び、2004年「東京音楽コンクール」で優勝、その後のイタリア留学から帰国して関西を拠点に活動しているソプラノ松岡万希の初CD。タイトル曲を含む、センス好い選曲の歌曲の数々からオペラ・アリアまで、イタリアのレパートリーが広範に収められているのは、デビュー盤らしく、名刺代わりとしての意図だろう。豊かな声と、骨太の構成力を感じさせる歌は、ずっしりとした安定感があり、とても心地よい。豊饒な語り口が、オペラ・アリアはもちろんのこと、歌曲作品もそれに負けないドラマを内包した宇宙なのだということを改めて感じさせてくれる。(宮本 明)ストルネッロを歌う女/松岡万希◎ペルゴレージ:もし貴方が私を愛してくれて ◎ロッシーニ:フィレンツェの花売り娘 レスピーギ:◎ストルネッロを歌う女 ◎さあ、クリスマスだよ ◎トスティ:「慰め」 他松岡万希(ソプラノ)野山真希、神保道子(ピアノ) ウィーンの名手らと共に数々の名演を繰り広げてきたピアノの後藤泉が昨年から取り組む、リスト編曲によるピアノ独奏版のベートーヴェン交響曲全集の第3弾。今回は視覚的要素の音楽的表現の粋であり、編曲の効果が及ぼす影響が最も興味深い第6番「田園」に、楽聖らしいスリリングな楽想が魅力的な第4番を組み合わせた。後藤はこの編曲が持つピアノ曲としての側面と、管弦楽作品としての色彩感をしっかりと咀嚼。第6番の強烈な色彩感はもちろん、第4番の第2楽章のような穏やかな楽想においても、細部の明暗を描き分け、この編曲ならではの愉悦を余さず表現している。(笹田和人)ベートーヴェン(リスト編曲):交響曲第6番「田園」・第4番/後藤泉ベートーヴェン(リスト編曲):◎交響曲第6番「田園」 ◎同第4番後藤泉(ピアノ)収録:2014年3月、埼玉、コピスみよしマイスター・ミュージックMM-2180 ¥2816+税収録:2013年11月,12月、茨城、ティートックスタジオT-TOC RECORDSXQDN-1051 ¥2778+税収録:2013年11月、相模湖交流センターディスククラシカDCJA-21023 ¥2800+税収録:2013年10月、ヨコスカ・ベイサイド・ポケットマイスター・ミュージックMM-2181 ¥2816+税CDCDCDCD

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