eぶらあぼ 2014.5月号
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38第847回サントリー定期シリーズ★5月16日(金)・サントリーホール第848回オーチャード定期演奏会★5月18日(日)・Bunkamuraオーチャードホール●発売中 問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522http://www.tpo.or.jpマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 名匠という称号にふさわしいマエストロにも、さまざまなタイプがある。イタリアのミラノ生まれ、今年で86歳になるアルベルト・ゼッダの音楽は、爽快かつ作為のないカンタービレにあふれ、「楽譜に命が吹き込まれるとはこういうことか」という気にさえさせてくれる。ロッシーニ研究の第一人者でもあるマエストロだが、藤原歌劇団の《どろぼうかささぎ》や東京フィルとの《ウィリアム・テル》(ハイライト)、「スターバト・マーテル」など、これまでにも納得の名演を聴かせてくれた。 5月の定期演奏会でも、当然ながらロッシーニの魅力が満開。《ウィリアム・テル》からのバレエ音楽や《セミラーミデ》の序曲はもちろん、なかなかコンサートでは聴けないカンタータ「ジャンヌ・ダルク」が目を引く。有名なオルレアンの乙女を英雄叙事詩のように歌い讃える20分弱の作品だが、ローマ生まれの新星メゾであるテレーザ・イエルヴォリーノの歌にも、名匠が繰り出す新旧イタリア音楽の魅力アルベルト・ゼッダ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団オーケストラが繰り出す“カンタービレの嵐”にも期待が持てそうだ。長大でドラマティックなモノローグ風アリアのようでもあり、ロッシーニはまだまだ追求しがいがあるとさえ思える印象深い曲である。他にも、聴いてみると「こんなにいい曲があったのか!」と驚かされるシューベルトのニ長調交響曲(第3番)、20世紀イタリアの新古典派であるマリピエロの交響曲という、いずれもゼッダこだわりの選曲。発掘魂を満足させてくれるプログラムだ。文:オヤマダアツシテレーザ・イエルヴォリーノアルベルト・ゼッダ 毎回バラエティ豊かな出演者とプログラミングで人気の神奈川フィル。5〜6月の定期も実に意欲的で覇気が漲っている。 名誉指揮者の現田茂夫が指揮する第299回定期。最大の聴きどころは、今シーズンから第1コンサートマスターに就任する﨑谷直人がソロを弾くモーツァルトの協奏曲第4番だ。当時ザルツブルクの宮廷に仕えていた若き日の作曲者が残した一連のヴァイオリン協奏曲の中で、とりわけ気品に溢れた秀作と言えるだろう。﨑谷は、ウェールズ弦楽四重奏団の一員として欧州で長年学んだ最先端の音楽を、隅々まで洗練された妙技で聴かせてくれそうだ。また、当公演では、團伊玖磨の交響組曲「アラビア紀行」も要注目。命日が近い同フィル桂冠芸術顧問の作曲者を偲んで選ばれたというから、特に熱のこもった演奏となりそうだ。 記念すべき第300回定期には、4月に常任指揮者披露公演を行ったばか演奏者にマッチした絶妙なプログラミング神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第299回・第300回定期演奏会りの川瀬賢太郎が登場。今や同フィルの代名詞ともいえるマーラーの大作、交響曲第2番「復活」に挑む。自分より遥かに巨大なものに押しつぶされそうな不安と恐怖。それに打ち克とうとする青年らしい意気込みに溢れたこの交響曲は、今の川瀬に最もふさわしい作品のひとつと言えるだろう。才気煥発な彼が、“自分のオーケストラ”と丹念に創り上げる「復活」に注目だ。 それにしても、どちらの公演も本当に魅力的な内容。これほど出演者にぴったりなプログラムはそうそうお目にかかれない!文:渡辺謙太郎第299回定期演奏会★5月16日(金) 第300回定期演奏会★6月27日(金) 会場:横浜みなとみらいホール●発売中 問 神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107http://www.kanaphil.or.jp川瀬賢太郎﨑谷直人現田茂夫ⒸK.Miura

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