eぶらあぼ2014.4月号
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64東京・春・音楽祭―東京のオペラの森2014―齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞者支援コンサート横坂 源(チェロ) ★4月11日(金)・東京文化会館(小) ●発売中問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-3322-9966http://www.tokyo-harusai.com いま最注目のチェリスト横坂源が、東京・春・音楽祭の『齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞者支援コンサート』に出演。同賞はソニー音楽財団が主宰し、2002年から毎年、小澤征爾や堤剛らの選考により、有望な若手指揮者とチェリストに与えられている。横坂は08年度の受賞者だ。 「コンクールと違い、欲しいと思っていただけるものではないので驚きました。齋藤先生の業績は本などでしか知らないのですが、先生が師事したフォイアマンが大好きなので、個人的なあこがれはあります」 リサイタルは、フランス・バロックのフランクールに始まり、デュティユー、ヤナーチェク(おとぎ話)、ブラームス(ソナタ1番)、ラフマニノフ(ソナタ)というプログラム。共演のピアニストは伊藤恵。 「プログラムは、共演者の方と何を演奏したいのかということを主軸に考えます。今回は伊藤恵さんとラフマニノフを弾くのが大きなテーマで、とても楽しみです。天使のようなオーラが出ている素敵な方で、高校1年生の頃からずっと面倒をみていただいています」 実は2月下旬から4月末まで、長いドイツ・ツアーの真っ最中。このコンサートのためにいったん帰国する。 「ヨーロッパの空気をフレッシュな状態で日本に運ぶことができたら、それが僕の理想なので楽しみです。ただ、環境が違うと感じ方も変わってくるので、ドイツの空気感でそのままやってしまうと、またちょっと味が違ったりするのです。ヨーロッパだと、どの曲を弾いても自分の中でテンポ感が少し上がります。日本では、アクティヴというよりは、音の中身をしっかり感じながら構成していくという感覚です、そのバランスをうまくコントロールしたいですね」 往年の巨匠の演奏に強い憧れを抱く。 「チェロならフォイアマン、ピアティゴルスキー。その人の芯というか、音楽哲学がきちんとあって、それを加工せずそのままステージに出すことが許されていた時代です。しかし、それぞれにすごい個性があって全然違う演奏でも、楽譜の読み方にはものすごい規則性があるのを感じます。そのルールの中で、曲への共感をどうやって音として表現するかという、その幅が違うだけなんです。ああいう音を出せるようになったらいいなと思いますし、死ぬまでに、そのスタートラインには立ちたいですね」 もちろん彼がすでにそのスタートラインから走り始めているのは、ファンなら十分承知しているだろう。いまだにガラケーを愛用し、連絡にはファックスを使うという頑固な一面も頼もしい、若き大器だ。取材・文:宮本 明ヨーロッパの空気感を伝えたい横坂 源(チェロ)インタビュー 哲学的で豊かな音楽性を持つロシアのピアニスト、エフゲニー・ザラフィアンツ。若き日、自由な思想が許されにくいソ連時代にあって不本意な出来事にあい、望み通りの進路を阻まれる不遇の時代を過ごしたことでも知られる。活動の場を獲得した90年代以降はクロアチアに居を構え、ザグレブ国立音楽院で教鞭を執りながら演奏活動を行う。その揺るぎない信念に由来する独特のピア二ズムは、日本でも根強い人気を集める。 今年のリサイタル公演では、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」と第30番、そしてショパンのソナタ第3番などをとりあげる。心に寄り添う、深くソロとデュオで聴く孤高のピアニズムエフゲニー・ザラフィアンツ(ピアノ)温かい作品が集められたプログラムだ。一方、クロアチアを代表するヴァイオリニスト、ゴラン・コンチャルとのデュオ公演では、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」やサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などの有名曲が並ぶ。両巨匠のヴィルトゥオーゾぶりを体感できる内容。 孤高のピアニストの多彩な表情を堪能できる公演となりそうだ。文:高坂はる香ピアノ・リサイタル ★4月20(日)・王子ホールゴラン・コンチャル(ヴァイオリン)とのデュオ ★5月10日(土)・五反田文化センター音楽ホール、5月17日(土)・松本/ザ・ハーモニーホール問 アルペジオ音楽企画03-3418-5344(4/20,5/10)  ザ・ハーモニーホール0263-47-2004(5/17)エフゲニー・ザラフィアンツⒸM.MATSUIゴラン・コンチャル

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