eぶらあぼ2014.4月号
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58ナタリー・デセイ&フィリップ・カサールデュオ・リサイタル★4月14日(月)・サントリーホール●発売中問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040http://www.japanarts.co.jp他公演 4/16(水)・東京芸術劇場(都民劇場03-3572-4311) 4月に日本で歌曲リサイタルを開くナタリー・デセイ。燦めく声音で世界中の歌劇場を制覇した彼女だが、昨年11月、フランスの音楽雑誌の問いかけに「2014年秋までオペラはお休み。やりたいことがたくさんあるの!」と宣言した。そこで電話インタビューを行い、来日への抱負を訊ねてみた。 「オペラという荷物を今は肩から下ろしていますが、そのことに、センチメンタルな感情も寂しさも感じていません。何しろ、オペラは他に何も考えられない程の準備期間を要するので、今まで時間も労力も随分取られていました。でも、昨秋からやっと、ほかのことに使える時間が出来たので、今の私は『新しい人生を準備できる喜び』に満ちています!これからも勿論、音楽で一杯の人生を歩みます。だから、日本で歌曲を歌えることも本当に嬉しいのです。他には、演劇もずっとやりたかった分野なので、2015年に向けて舞台出演の準備も進めています」 なるほど。2014年のデセイは、アーティストとしての新境地を開拓すべく走り続けている最中である。ではリサイタルの内容について。 「ドイツとフランスの歌曲でプログラムを組みました。ピアニストのフィリップ・カサールが曲を一つひとつ演奏して聴かせてくれる中で、私の心に響いたものを選び抜きました。フォーレやプーランクなどすでに知っているメロディもありましたが、初めて聴く曲もあり、どれも本当に気に入っています! 作曲家にはいろいろな個性がありますね。例えばドビュッシーの陰翳やデュパルクの官能性など。でも、そういったメロディをお客さまの前で歌うのは、実は自分自身をさらけ出すようでもあるのです(笑)。でも、歌うからには、そのことも受けとめてやりますよ!」 ちなみに、クララ・シューマンやブラームス、R.シュトラウスのドイツ・リートを歌う歓びについて、フランス人であるデセイの観点は? 「国籍を意識したことはないですね(笑)。どの国の歌曲でも、どんな場合でも、ストーリーを『語る』ことに集中します。最近はミシェル・ルグランさんのシャンソンも歌っています。どんな種類の音楽も同じような気持ちで取り組みますので、私にはジャンルの違いは存在しません。オペラでは長い時間をかけて役柄を演じますが、歌曲もいわば、そのミニチュア版です。私はもう、大望や野心などは抱かなくなりました。ただ、芸術的により良い境地に至ることだけが願いです。日本の皆さまに『今の私』を聴いて頂ければ嬉しいです!」取材・文:岸 純信(オペラ研究家)私にはジャンルの違いは存在しませんナタリー・デセイ(ソプラノ)インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 満を持して登場!…というよりも、まだ出演していなかったことに驚きの方も多いかもしれない。大阪フィルの元コンサート・マスターで、現在はフリーで幅広く活躍。昨年はサイトウ・キネン・オーケストラのコンサート・マスターも務めた若き名手・長原幸太が『B→C』の舞台に立つ。 前半はJ.S.バッハの無伴奏パルティータ第3番、この作品に触発されて書かれたイザイの無伴奏ソナタ第2番、不動明王の前で唱える真言のリズムを題材とした松下功「マントラ」、の無伴奏作品3曲。数々のコンクールで最年少優勝を重ねてきた長原が、無駄や過剰が一切ない“これぞ無伴奏”を聴かソリストとしての若き名手の魅力が満載東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 長原幸太(ヴァイオリン)せてくれるはずだ。 後半は、恩師・國谷尊之のピアノとともに、J.S.バッハの「ソナタBWV1021」で幕開け。豊田耕兒「パンセⅡ」、ストラヴィンスキー「イタリア組曲」と続く。3年近くにわたって温め続け、今回が念願の初披露となる豊田作品。昨年のデビューCDにも収録されたストラヴィンスキーの更なる新境地など、どの作品にも期待が募る。文:渡辺謙太郎★4月15日(火)・東京オペラシティ リサイタルホール ●発売中問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999http://www.operacity.jpPhoto:Masashige OgataⒸSimon Fowler

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