eぶらあぼ 2014.3月号
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54 「待ちかねていた…」と思わず漏らしてしまう人も、きっと多いはず。磨き抜かれた技巧と深い精神性に裏づけられた表現力で紡ぎ上げた、独自の音楽世界で聴衆を魅了するピアノのマリア・ジョアン・ピリス。ソロリサイタルとしては、実に16年ぶりとなる来日ツアーが、いよいよ実現する。ソリストとしてはもちろん、室内楽でも名手として知られる彼女。3年前に東京でピリスの名を冠したプロジェクトが開かれ、リートの伴奏から4手まで多彩なプ圧倒的な表現力で紡ぐシューベルト最後のソナタマリア・ジョアン・ピリス(ピアノ) ログラムを聴かせ、さらに昨春にはチェロのアントニオ・メネセスと共に、素晴らしい名演を披露してくれた。全国を巡る今回は、2011年に録音したディスクでも滋味豊かな秀演を聴かせたシューベルト最後のソナタである第21番と、同じくシューベルト晩年の「4つの即興曲D.899」を大枠に。ここへ「プレリュード」「サラバンド」「トッカータ」と3つの表情の異なる小品からなる、ドビュッシー「ピアノのために」を据えた。文:寺西肇★3月7日(金)・サントリーホール(ヒラサ・オフィス03-5429-2399)、11日(火)・横浜みなとみらいホール(神奈川芸術協会045-453-5080) ●発売中※上記以外の公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.hirasaoffice06.com★3月18日(火)・ヤマハホール●発売中問 オフィスアルシュ03-3565-6771  /東京文化会館チケットサービス  03-5685-0650 1996年のデビュー以来、スカラ座やパリ・オペラ座、グラインドボーンやザルツブルクなどの音楽祭で人気を集めているイタリアのメゾソプラノ、マリーナ・コンパラートが3月に銀座のヤマハホールでスペシャルな公演を行う。プロデュースと案内役を務めるのはフリーアナウンサーでコンサート・ソムリエとしても活躍中の朝岡聡。 「数年前にブリュッセルのモネ劇場で観た《コジ・ファン・トゥッテ》のデスピーナが最初で、それからナポリで《フィガロの結婚》のケルビーノ、トリノで《セヴィリアの理髪師》のロジーナと聴いてすっかり彼女に魅了されたのです。美しい声と卓越した歌唱技術に加えて舞台姿がとにかくキュートで華がある。そんな彼女が来日すると聞いて、オペラは無理だとしても、何とか彼女のソロやアンサンブルの魅力を伝えるステージをセッティングできないかと思って。そこでベルカントを歌わせたら日本でピカイチの中井亮一さん(テノール)と須藤慎吾さん(バリトン)を交えて、彼女の十八番であるロジーナをメインにしたプログラムを組んだというわけです」 コンサートの司会やオペラの魅力を深く・楽しく伝える好企画などで日頃からクラシック・ファンの裾野を拡げる活動を展開。イタリア・ペーザロのロッシーニ音楽祭に毎年通い詰める程の熱烈な“ロッシーニアン”としても知られる。 「ロッシーニ・オペラの魅力は物語の持つドラマ性というよりは、音楽それ自体で理屈抜きに人を酔わせてくれるところ。華やかな歌唱の様式美、声の魔力をじっくりと堪能できる快楽はオペラ芸術の窮極の原点といえますね。当日は彼女だけでなくテノールやバリトンのソロも用意していますので、その醍醐味をぜひ味わって欲しい」 また、伴奏にピアノではなくエレクトーンを起用したことも今回の公演の特長のひとつ。 「海外での認知度はまだまだですが、ヤマハの誇るエレクトーンのサウンドが徐々にオペラシーンに浸透しつつあります。昔の電子音からは遙かに進化し今や様々な楽器の音色をほぼイメージ通りに出せ、まるでオーケストラがそこにいるような感覚。これはホントに凄い! この分野の第一人者である渡辺睦樹さんの素晴らしい演奏にもご期待下さい。会場は333席という贅沢さで日常を忘れさせる夢空間。もちろん公演後には“大人の街”である銀座ならではの楽しみもあります。今回は準備に奔走し“私は街の何でも屋”と歌うフィガロのような忙しさでしたが(笑)自信を持ってお届けできる公演です!」取材・文:東端哲也人気沸騰中のメゾの魅力をご案内朝岡聡(プロデュース/案内) マリーナ・コンパラートを迎えて…インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます)朝岡 聡マリーナ・コンパラート

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