eぶらあぼ 2014.2月号
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72★3月1日(土)・東京文化会館(小) ●発売中問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp ひとり芝居と人形劇を融合させた独自の表現方法を確立し、自ら脚本・演出・音楽・美術なども手掛けた作品を各地で上演している孤高のアーティスト、たいらじょう。人形と自身の存在を巧みに遣い分け、観客のイマジネーションを刺激して舞台上にドラマを創出するパフォーマンスは、実際に体験した者だけが享受できる魔法の世界だ。 0〜2歳を対象とした「シアタースタートプログラム」やファミリー向け作品にも定評があるが、近年は総合芸術として敢えて“R-15指定”を打ち出し人形とバロック音楽で描く情念の世界東京文化会館 ギリシャ悲劇 《王女メディアの物語》た長編作品の上演が相次ぐ。なかでも東京文化会館小ホールで初演される《王女メディアの物語》は、身近な素材である段ボールのみの美術で挑む初の大人向け作品。18世紀末にケルビーニもオペラの素材としてとりあげたことで知られるギリシャの古典的名悲劇が原作なだけに、そこからいかにして、人形だからこそ表現できる「狂気の中に秘められた人間の姿」を浮き彫りにしてくれるのか大いに期待したい。また今作ではたいら作品としては初となる、全編を通して生演奏とのコラボが実現することも注目。当日はレザール・フロリサンなどで活躍するセバスティアン・マルクが音楽監修とリコーダー奏者として参加し、アンサンブル・レ・ナシオンのメンバーと共に独創的な劇の進行にあわせて、バロック時代の様々な作曲家の作品が奏でられるとか。古楽ファンもぜひこの機会に!文:東端哲也たいらじょうⒸKatsumi Kajiyamaセバスティアン・マルク エリソ・ヴィルサラーゼは、教鞭を執るモスクワやミュンヘンの音楽学校の門下から、ボリス・ベレゾフスキーをはじめとする名手を輩出している。著名なコンクールの審査員も務めているので、彼女を教育者と思っている人もいるかもしれない。だがヴィルサラーゼはロマン派の演奏の系譜を現代に伝えるロシア・ピアニズムの継承者で、ネイガウスらの元で学び、リヒテルからも多大な影響を受けた大家である。チャイコフスキー・コンクールやシューマン・コンクールで高位入賞を果たし、その後はグートマンをはじめとするトップ・アーティストや指揮者たちと共演を重ねてきた。そのタッチは正確なだけでなく、多彩かつ豊かさを極める。 ロシア・ピアニズムの紹介に心を砕いてきたすみだトリフォニーホールで、そのヴィルサラーゼがリサイタルを開11年ぶりのリサイタルが実現!エリソ・ヴィルサラーゼ(ピアノ)く。実に11年ぶりだ。プログラムも凝りに凝っている。シューマンの交響的練習曲、ブラームスのピアノ・ソナタ第1番、さらにモーツァルト(ドゥゼードの「ジュリ」の「リゾンは眠った」による9つの変奏曲」)とハイドン(アンダンテと変奏曲 ヘ短調)。後者2曲は頻繁に演奏される曲ではないが、「交響的練習曲」が主題に基づく変奏、ブラームスの第2楽章も主題とその変奏になっていることを考えれば、リサイタルを貫く縦糸も自ずと見えてくるだろう。ヴィルサラーゼの指先が、一つの主題をどんなに豊かに膨らませ、どんなに豪華に着飾らせるか、心して耳を傾けようではないか。文:江藤光紀★2月3日(月)・すみだトリフォニーホール ●発売中問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212http://www.triphony.comⒸ能登直

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