eぶらあぼ 2014.2月号
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62 “ロシア・ピアニズムの若き至宝”として、世界中の聴衆から熱い注目を浴びているアレクサンドル・ヤコブレフ。ヨーロッパ中の名門コンクールで入賞を重ねること50余り、2010年に開かれた第3回高松音楽コンクールでも優勝を飾り、日本の聴衆にも、強烈な印象を与えた。現在、モスクワはもとより、ベルリンやローマ、ウィーンなどでもリサイタル活動を行う一方、ベルリン交響楽団やスイス・ロマンド管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団など世界中の主要楽団と共演を重ねている。東京と、思い出の土地でもある変幻自在な響きの宇宙アレクサンドル・ヤコブレフ(ピアノ)高松で開く来日リサイタル。モーツァルトの第7番とベートーヴェンの第32番という2つのソナタに、ブラームス「7つの幻想曲」とラヴェル「夜のガスパール」を組み合わせた。ロシア本国だけでなく、ザルツブルクやベルリンでも学んだヤコブレフの、幅広いレパートリーを物語る多彩なプログラム。俊英はこの名曲の森から、変幻自在な響きの宇宙を構築していく。文:笹田和人★2月9日(日)・高松/アルファあなぶきホール(小)(高松国際ピアノコンクール事務局087-812-5583)、11日(火)・トッパンホール(プロアルテムジケ03-3943-6677) ●発売中2つのスペインの夜 ★5月18日(日)・浜離宮朝日ホールトーレスでタレガを弾く ★5月20日(火)・トッパンホール ●発売中問 ペペタス東京03-3371-6681 http://www.peperomero.pepetas.com クラシック・ギターの巨匠ペペ・ロメロが2つの注目公演を東京で開く。まずは、1994年と2012年に発表した2枚の同名のアルバムから、珠玉の佳品を選りすぐった『2つのスペインの夜』(5/18)。そして“門外不出”の歴史的名器「トーレス」ギターで名旋律を紡ぐ『トーレスでタレガを弾く』(5/20)だ。「日本で演奏することは、とても喜ばしい」と語るロメロ。日西友好400年にも相応しく、わが国のギター演奏史に残る伝説のステージの一つとなるのは必至だ。 スペイン南部のマラガ生まれ。やはり名手であった父セレドニオの手ほどきでギターを始め、目も眩む技巧と輝かしい音色、豊かな歌心によって、早くから名奏者として国際的に知られた存在に。そのステージは、師であり、偉大な先人でもある父への敬愛の念に満たされている。今回の2つのステージも例外ではない。5月18日公演の冒頭で弾く、ミランの「幻想曲第16番」については「父が息を引き取る間際、『私の助けが必要なら、この曲を弾きなさい。すぐに飛んで行って、お前と共にいてあげるよ』と話してくれた」と特別な思いを明かしてくれた。同曲に続き、ロメロの息子(ペペ・ロメロ・Jr)が製作した愛用のギターで、アルベニスやロドリーゴなどスペインの名曲を披露。「幼い頃、父が弾いているのを聴いた記憶が残っている」と言うトローバ「ソナチネ」など、思い入れ溢れる曲目が続く。 そして、5月20日公演では、ロメロが父から受け継いだ、名工アントニオ・デ・トーレスの“博物館級”の名器(1856年製作)を使用。 「父は闘病中の最晩年、このギターに触れて、痛みを忘れようとした。そしてこのトーレスが、父が最後に弾いたギターになったんだ」 特別な機会にしか使わない、思い入れ深い楽器。実は父の死から16年間あえて弦を交換していなかったと明かし、「でも明日、交換することにしよう。東京で使うんだからね」。 このステージでは、トーレスのギターの美音に触発され、「アルハンブラの想い出」などの名曲を生み出したタレガを特集。 「(トーレスが)多彩な音色をもたらしたお陰で、タッチや奏法が工夫され、それを活用した作品が生まれ、新たな地平を切り拓いた」と説明。「優れたトーレスは今も、あらゆる状況で実力を発揮する。今も生き続ける、現役のギターなんだ」と熱っぽく語る。 「日本の皆さんのギターへの情熱と愛情には、常に敬服している。だから、5月に再訪できるのは、この上ない喜びだよ」 そして、東日本大震災に触れ、「今回の公演があの大災害後、初の日本公演とは思えない。あの日以来、私は多くのステージで、哀しみと祈りを込めて弾いていた。あのような惨事が2度と起こらないよう願い、一日も早い復興を祈っている。今度の公演は特別な意味を持つし、それを愛しい日本の皆さんと分かち合いたい」と力を込めた。構成・文:寺西 肇日本のギター史に新たな伝説が刻まれるペペ・ロメロ(ギター)インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます)

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