eぶらあぼ 2014.2月号
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48第78回 東京オペラシティシリーズ★3月22日(土)・東京オペラシティコンサートホール ●発売中問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511http://tokyosymphony.jp第535回定期演奏会 ★3月12日(水)・サントリーホール ●発売中問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp これまでに数々の意欲的なプログラムによって聴衆に驚きを与えてくれた下野竜也と読売日響。この名コンビが3月の定期演奏会でドヴォルザークの「レクイエム」を演奏する。合唱は国立音楽大学合唱団。中嶋彰子、藤村実穂子、吉田浩之、妻屋秀和の万全の独唱陣がそろう。 ドヴォルザークの「レクイエム」は1890年の作曲。交響曲を第8番まで書き終え、すでに作曲家として名声を獲得していた40代終盤のドヴォルザークが全精力を傾けて書いた大作国際派声楽陣と共に挑む大作下野竜也(指揮) 読売日本交響楽団 ドヴォルザーク 「レクイエム」である。厳粛で崇高な楽想は、私たちがドヴォルザークと聞いてまっさきに思い起こす「新世界より」や「アメリカ」といった作品とは一線を画す。 そもそもドヴォルザークは限られた作品ばかりが繰り返し演奏される作曲家である。10作を超えるオペラを書いたオペラ作曲家であるにもかかわらず、《ルサルカ》を例外として、これらはめったに顧みられることがない。またオラトリオやミサ曲、カンタータなどの合唱曲も10作以上残しているが、教会音楽作曲家としてのドヴォルザークに光が当たる機会はまれだ。残した歌曲は100曲以上。ドヴォルザークは案外“声楽の作曲家”なのだ。 となれば、「レクイエム」のような大作にこそ、この作曲家の真髄が聴けるはず。ドヴォルザークの本当の魅力に出会える一夜になるのではないだろうか。文:飯尾洋一下野竜也Ⓒ読響中嶋彰子藤村実穂子ⒸR&G Photography吉田浩之ⒸEiji Shinohara妻屋秀和 10年間にわたり東京交響楽団を率いてきたスダーンが今シーズンをもって任期満了、勇退となる。同団に新風を吹き込んだ功績は計り知れず、音楽監督として臨む最後の演奏会はファンにとっても感慨深いものになるだろう。その3月のコンサート(東京オペラシティシリーズ)でスダーンが選んだのは、オール・ハイドン・プロだ。 ハイドンはモーツァルトからベートーヴェン、さらにロマン派へと続く独墺系シンフォニーの系図の原点として、欠かすことのできない作曲家だ。スダーンは毎年、シーズンを貫くテーマ作曲家を決めてきたが、ハイドンも2007年に取り上げている。“交響曲の父”の第1番ではじめ、最後の第104番「ロンドン」で締めくくる今回の選曲にも、万感の思いが込められているように思われる。堂々たる構成を持つ「ロンドン」が書かれた数年後にはベートーヴェンが最初の交響曲を作曲するが、スダーンが東京交響楽団にもたらしたものも、今後の同団の発展の中で礎石のハイドンに万感の思いを込めるユベール・スダーン(指揮) 東京交響楽団 ように輝いていくことだろう。 間に配されるのは2つのピアノ協奏曲(ハ長調 Hob.XVIII:5、ニ長調Hob.XVIII:11 op.21)。ここではモダン・ピアノではなく、その前身であるフォルテピアノが用いられる。ピアノに比べタッチが軽く残響が短い分、より軽快な身振りが前面にでる。まさにハイドンが考え、聴いてたであろうサウンドが期待できる。ソロはピート・クイケン。クイケンといえば中欧圏の古楽復興を牽引した一家だが、ピートはガンバ奏者のヴィーラント・クイケンの次男にあたり、中堅奏者として世界的に活躍している。こちらの競演も楽しみだ。文:江藤光紀ユベール・スダーンピート・クイケン

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