eぶらあぼ 2014.1月号
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39★2014年1月23日(木)・紀尾井ホール ●発売中問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp★2014年2月2日(日)・サントリーホール ●発売中問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 2002年のチャイコフスキー国際音楽コンクールピアノ部門で、日本人として、また女性として初めて頂点に立った上原彩子。それから10年以上が過ぎ、近年その演奏活動はますます輝きを増している。2013年もプラハ交響楽団やドレスデン・フィルとのツアーにおいて、圧倒的な存在感で注目を集めた。 毎年恒例となるサントリーホールでのリサイタル、今年は得意とするロシアものから、前年に引き続きオール・ラフマニノフ・プログラム。前半はバッハの編曲作品で始め、続けて「幻想的小品集」や「サロン小品集」からの数作品と、「コレルリの主題による変奏曲」を合わせる。一方後半は、結婚前のラフマニノフが妻にあてて書いた歌曲を、ヴィルトゥオーゾピアニストとして活躍したアール・ワイルドが編曲した、「ここはすばらしい場所」「春の悲しみ」。オール・ラフマニノフの醍醐味上原彩子(ピアノ)のラフマニノフそして、チェロとピアノがロマンティックに歌う「チェロ・ソナタop.19」を、遠藤真理を迎えて演奏する。趣向を凝らしたプログラムから、愛情あふれる一つの物語を読み取ることができそうだ。 近年の上原の演奏からは、豊かな包容力のようなものが感じられる。実際に彼女が3児の母であるというイメージが手伝っているところもあるだろうが、やはりその音や表現それ自体に、内面のプラスの変化が反映していることが伝わってくる。 彼女の遠くまで伸びやかに飛んでくるあたたかい音は、ラフマニノフによく合う。今回も、力強く確信に満ちたラフマニノフを聴かせてくれることだろう。文:高坂はる香 “名手と名曲の出逢い”ほど、音楽ファンにとって幸せな瞬間はあるまい。バロックヴァイオリンの先駆者として、日本のみならず、ヨーロッパの古楽シーンをリードし続けてきた寺神戸亮。『バッハ協奏曲 名作選』は、寺神戸が古楽界の一線で国際的に活躍する第一人者たちと共に贈る、そんな至福の時間だ。 東京フィルのコンサートマスターを経て、古楽の世界へと身を投じた寺神戸。名匠シギスヴァルト・クイケンの薫陶を受け、片腕として彼のアンサンブル「ラ・プティット・バンド」を率いたほか、レザール・フロリサンやバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)など一流楽団のコンマスを歴任している寺神戸。近年は指揮者として、バロック・オペラやモーツァルトの作品に取り組むほか、“幻”の肩掛けチェロ「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」の蘇演に取り組むなど、新たな境地への挑戦を続けている。 今回は、2つの「ヴァイオリン協奏曲BWV1041&1042」で、しなやかな美音を披露。そして、BCJなどで活躍するフルートの菅きよみと、韓国出身でオラバッハとともに至福の時間を寺神戸亮が名手たちとともに贈る バッハ協奏曲 名作選ンダを拠点に精力的に活動するチェンバロのチョー・ソンヨンがソリストに加わり、「フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲BWV1044」と「ブランデンブルク協奏曲第5番BWV1050」を取り上げる。特に、鍵盤作品から編寺神戸亮ⒸT.NagataⒸ三浦興一曲された前者は「自作品の編曲者としてのバッハの、最も熟達した業績のひとつ」と評価されつつも、実演にはなかなか触れられない作品だけに、貴重な機会と言えよう。文:寺西 肇チョー・ソンヨン菅きよみ

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