eぶらあぼ 2013.11月号
49/209

46【CD】『ハバネラ〜チェロ小品集〜』マイスター・ミュージックMM-2166 ¥295710月25日(金)発売 NHK交響楽団でチェロのフォアシュピーラー(次席奏者)を務める傍ら、ソリストとして、また人気チェロ・クァルテット「ラ・クァルティーナ」のメンバーとしても活躍する藤村俊介。そんな藤村が11月に行うリサイタルは、ブラームスのスケルツォ(F.A.E.ソナタ)&ソナタ第2番、カサドの無伴奏ソナタ、プロコフィエフのソナタを並べた重厚なプログラムだ。 「メインはブラームスの第2番とプロコフィエフ。どちらの作曲家も、N響で共演した指揮者から多くの示唆を得ました。特に思い出深いのは、前者がホルスト・シュタイン、後者がヴォルフガング・サヴァリッシュですね」 共演は、レバノン出身の実力派ピアニスト、アヴォ・クユムジャン。ウィーンで学び、1981年のベートーヴェン国際コンクールで優勝を飾っている。 「前回のリサイタルでもピアノをお願いしたのですが、まるで野生の馬のように縦横無尽な演奏を展開し、実にスリリングでした。僕もN響では年長の部類に入ってきましたから、一つひとつの仕事をもっと大切にしながら質を上げていきたい。ですから、今回のようなリサイタルにはひときわ力を入れて頑張りたいと思うのです」 10月には、ラヴェルの表題作を含む14曲を収めた4枚目のソロ・アルバム『ハバネラ〜チェロ小品集〜』を発表する。今回の注目は、N響の同僚でもあるハープ奏者の早川りさこと共演していることだろう。 「ロマンティックな名曲を中心に選びました。ハープはピアノに比べて響きが持続しないのが心配だったのですが、それは杞憂に終わりましたね。僕がどんなにテンポを揺らしても早川さんはぴったり合わせてくださって。N響ではわからなかった彼女の凄さや魅力を沢山発見できました(笑)」 さらに、J.S.バッハ「G線上のアリア」やマスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲などの7曲では、日本フィルのハープ奏者、松井久子も参加。2台ハープとの美しい掛け合いを楽しめる。 「早川さんが2台ハープを提案してくださったのです。ハープがピアノの替わりを務める時は、音数を減らしたり、アーティキュレーションに不満が残ったりするのですが、今回はそれをすべてカバーした理想的な録音ができました。中でも、サン=サーンス『白鳥』の伴奏は2台ピアノが原曲。優雅に泳ぐ白鳥のチェロだけでなく、ハープが繊細に描き出す湖面の流れや輝きも立体的にお楽しみください」取材・文:渡辺謙太郎★11月11日(月)・浜離宮朝日ホール●発売中問 マルタミュージックサービス  047-335-2002http://maltamusic.netリサイタルはピアノ、CDは2台ハープと共演藤村俊介(チェロ)インタビュー 最後の日本ツアーと聞けば心が騒ぐ。スローカー・トロンボーン四重奏団が、遂にファイナルを迎える。古称“神の楽器”たるトロンボーンは、その名に相応しい荘厳な響きで魅せると同時に、華麗かつ柔らかなソロや、美しく溶け合ったアンサンブルで耳を楽しませる。特に四重奏は、同種楽器の室内楽の中で最もバランスがよく重層的だ。その楽器の“教祖的”存在の1人がブラニミール・スローカーであり、彼が1973年に創設したのが同クァルテットである。結成40周年にして総決算となる今回は、前半が協奏曲(今村能指揮・フィルハルモニア多摩が共演)で、後半がクァルテットの演奏。前半は御大のソロ協奏曲に四重奏の協奏曲、後半はバさらばスーパー・クァルテットスローカー・トロンボーン四重奏団 結成40周年 ファイナル・コンサートロックもの、オペラの序曲、ミュージカル、映画音楽…と多彩な演目が並ぶ。メンバーは全員スローカーの教え子だから奏法や音色の統一感は比類なし。超絶技巧と完璧なハーモニーに感嘆し、豊饒な音楽に陶酔し、時にはユーモアに笑みが浮かぶ幸せなステージも見納め&聴き納めゆえ、絶対にお見逃しなく!文:柴田克彦★12月2日(月)・東京芸術劇場 ●発売中問プロアルテムジケ03-3943-6677 ファイナル・ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.proarte.co.jpPhoto:Junichi Ohnoマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です