eぶらあぼ 2013.11月号
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44第76回 東京オペラシティシリーズ ★11月15日(金)・東京オペラシティコンサートホール ●発売中問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511http://tokyosymphony.jp第81回 新潟定期演奏会★11月17日(日)・新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ ●発売中問 りゅーとぴあ025-224-5521 http://www.ryutopia.or.jp 大友直人が東京交響楽団の専属指揮者になって、早20年が過ぎた。甘いマスクとフレッシュな指揮姿で聴衆をとろけさせてきた大友も、ロマンスグレーの似合う貫禄のマエストロへと成熟を遂げている。つい数日前にも筆者は、両者が「惑星」などを演奏するのを聴いたが、奇をてらうことなく作品に正面から向かい合い、オーケストラからスケールが大きく、たっぷりとした音楽を引き出すリードに、円熟とはこのことをいうんだろうな、と大いに得心したところだ。 そんなマエストロに似合う作曲家こそ、ブラームスだ。大友は以前からよく取り上げてきたが、やればやるほど深みがでてくるのだから。今回は前半に「運命の歌」、「悲歌」と渋い合唱曲が並んでいる。それぞれヘルダーリンとシラーによる神や死についてのテキストに基づくが、天上界の様子や人間の深い思いをメロディに乗せるいぶし銀の筆運びは、まさに秋の深まりにぴったり。後半におかれたピアノ協奏曲ブラームスで聴く大友の“円熟”大友直人(指揮) 東京交響楽団第2番は、協奏曲といいつつも交響曲に匹敵する大作だ。 前半で合唱を披露する東響コーラスは1987年設立。東響とは大友よりも長い共演歴を誇る。オーディションによって選抜されたメンバーが一丸となって、オーケストラを熱く盛り上げてきた。ピアノ協奏曲第2番ではソリストにアンドレ・ワッツが登場する。十代で活動を始めた大ベテランだが、パワフルでスケールの大きな演奏が持ち味のワッツも60代後半となり、マエストロとの共演も節々に滋味が感じられるものとなるだろう。文:江藤光紀大友直人ⒸRowalnd Kirishimaアンドレ・ワッツⒸSteve J.Sherman 2011年は佐渡裕の指揮による熱い演奏で楽団創立100周年を締めくくり、昨年は大植英次率いるドイツ圏で活躍する実力派ソリストとの競演と、このところ話題に事欠かなかった東京フィルの「第九」。今年は1974年から長らく同楽団の“顔”として活躍し、現在は桂冠指揮者の任にある尾高忠明が登場。2010年からは新国立劇場の芸術監督も務め、大震災直後の同フィル「第800回定期」での渾身のタクトと感動的なスピーチが今なお語り継がれる尾高だけにその手堅い演奏に期待が集まる。実力派ソリストの饗宴に注目尾高忠明(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団「第九」 そして「第九」といえばやはり気になるのがソリスト陣。今回も魅力的な4人が集結。安井陽子は超絶技巧に長けたコロラトゥーラ・ソプラノのフレッシュな逸材で、宗教曲のソリストとしても定評がある。アルトの山下牧子は、昨年《響きの森クラシックシリーズ》の東京フィル「第九」で圧倒的な歌唱を披露しており、その実力は証明済み。テノールの小原啓楼は先ごろ《スポーツ祭東京2013》の総合開会式で4万人の観衆を前に、「君が代」と炬火入場及び点火式に合わせて《トゥーランドット》の「誰も寝てはならぬ」を熱唱し、会場を沸かせたのも記憶に新しい。そして、萩原潤もドイツを中心に欧州各地で研磨を積み、安定した歌唱力で数多くのコンサートや録音に参加している人気バリトンだ。もちろんカップリング作品の《コリオラン》序曲も聴き逃せない。文:東端哲也★12月19日(木)・東京オペラシティコンサートホール、21日(土)・サントリーホール(完売)、22日(日)・Bunkamuraオーチャードホール ●発売中問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp尾高忠明ⒸMartin Richardson山下牧子安井陽子小原啓楼萩原 潤

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