eぶらあぼ 2013.10月号
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76エリゼ弦楽四重奏団&中野真帆子 ★10月17日(木)・紀尾井ホール(ガモウ企画部03-5414-6585)、20日(日)・武蔵ホール(04-2962-5668)、24日(木)・武蔵野市民文化会館(小)(0422-54-2011) ●発売中 中野真帆子はウィーンやパリなどで学び、2002年に帰国。現在、日本をベースに、フェリス女学院大学音楽学部で若いピアニストたちを指導しつつ、パリを定期的に訪れながら活動している。今秋、初来日のエリゼ弦楽四重奏団とともに東京近辺で公演を行う。 「彼らとは、2009年にノルマンディーの『ムーラン・ダンデ(アンデの水車)』という芸術村で出会いました。古い水車小屋を改装した、とても素敵なセンターで、映画のロケ地にもなっています」 18年前にエリゼ弦楽四重奏団が結成されたのも、このムーラン・ダンデだった。 「現在のメンバーになったのはつい最近のことですが、フランス人とロシア人が2人ずつという構成は変わらず。フランスのエスプリとスラヴ的パッションが、理想的な形で融合されているアンサンブルです。“エリゼ”は、ギリシャ神話の、高潔な英雄や芸術家が暮らす死後の楽園“エリュシオン=Elysion”に因んだもの。音楽を通して作曲家の魂と出会えるようにという願いからの命名だそうです」 公演プログラムは、紀尾井ホールが、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲作品13とシューマンのピアノ五重奏曲。残り2公演が、ラフマニノフの弦楽四重奏曲第1番&第2番とアレンスキーのピアノ五重奏曲。 「ラフマニノフの先生でもあったアレンスキーは、パリで人気のある作曲家。ピアノ五重奏曲は、シューマンの同作品の影響を色濃く受けている作品です。抒情的で、華やかで、演奏効果の高い曲なので、あまりクラシックになじみがないという方にも、楽しんで聴いていただけると思います」 室内楽に本格的に取り組み始めたのは、パリのエコール・ノルマルを終え、カナダのバンフ・センターの研修プログラムに参加してからという。 「各人にピアノ付きのスタジオが与えられて、24時間演奏できる恵まれた環境でした。先生は存在せず、参加メンバー同士で交流したり、センターが招くゲスト・アーティストと共演したり、自由に自発的に学べる雰囲気。室内楽はソロと違って、各奏者や楽器の個性があらゆる形で演奏に反映するのが魅力ですね」 パリやショパンに関する数冊の訳書・著書もある文才の持ち主だが、「書きたい気持ちはあるけれど、しばらくはピアノに戻って」と笑う。来年3月にはパリでのソロ・リサイタルも開催予定。旺盛に活動の場を拡げ続ける実力派の「いま」を、まずは秋のピアノ五重奏で。取材・文:宮本 明パリ発の粋なコラボレーション中野真帆子(ピアノ)インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 「アプリコ ウィークデー・コンサート」は平日の午前と午後に用意される、極上の音楽に満たされた贅沢な1時間。旬な演奏家による名曲の数々を、手ごろな入場料金で、一杯の薫り高い紅茶のように味わえる。記念すべきシリーズ第1回目のステージに登場するのは、抒情的な美声と高い演技力、そして端正なルックスで人気のテノール、中鉢聡。新国立劇場をはじめオペラの檜舞台で大活躍する一方、NHK教育(Eテレ)「愉快なコンサート」への出演、サッカーの国際大会で国歌を歌うなど音楽ファン以外にも広く知られ、“声楽界の貴公“声楽界の貴公子”登場アプリコ ウィークデー・コンサート Vol.1 中鉢 聡(テノール)子”との呼び声も高い。今回は、オペラにも造詣の深い声楽伴奏のスペシャリスト、ピアノの瀧田亮子とのステージ。プッチーニ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」などオペラ作品のアリアから、カルディフェッロ「カタリ・カタリ(つれない心)」やララ「グラナダ」などナポリ歌曲まで、誰もが一度は耳にしたことのある名旋律の数々をたっぷりと披露してくれる。文:笹田和人★10月22日(火)・大田区民ホールアプリコ(小) ●発売中問アプリコ03-5744-1600http://www.ota-bunka.or.jpエリゼ弦楽四重奏団中野真帆子

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