eぶらあぼ 2013.9月号
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55 ジャンルを超えた魅力的な楽曲を次々と生み出しているコンポーザーピアニスト、天平。2006年からアメリカに留学し、今年グリーンカードを取得。日米を往復する活動の傍ら、ヨーロッパ音楽修行の旅、紀伊半島秘境ツアー、東日本大震災被災地にピアノを贈るプロジェクトなど、独創的な企画も数多く手がけている。この度、そんな彼のデビュー5周年を記念したコンサートが行われることになった。過去に発表した3枚のアルバムの代表曲に加え、新曲も披露する5周年ならではのプログラムに期待が集まる。 「過去のダイジェストという意味では、例えば、『火の鳥』。鳥のように自由に生きたいという僕の願いをピアノという“音の翼”に託した作品です。ピアノのお陰で世界中を旅した僕が、様々な人々との出会いの中で魂を燃やし、火の鳥となって帰ってくる“生き様”を描きました。10年にヨーロッパ12ヵ国を巡った際に書いた『End of Journey』では、旅の思い出を振り返りながら、各地の民族音楽や文化の薫りを散りばめてあります。突然怒りだしたり、穏やかになったり、様々な表情で揺らめく人間の感情を炎に例えた『フレイム』。そして、『一期一会』は、大阪芸大時代の恩師や親友たちとの出会いに感謝した大切な作品です」 新作ですでに演奏が決まっているのは2曲。先日、日本一高いビル「あべのハルカス」内に開業した「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市)のオープニング(開店時)&クロージング(閉店時)として書いたテーマ曲だ。 「僕も常に高みを目指して音楽を続けている人間なので、ハルカスの誕生に関わった人々の意志にはとても共感するものがありました。『天空序曲』と名付けたオープニング曲は、天空の階段をどこまでもエネルギッシュに駆け上がっていくイメージで、転調を多用。クロージング曲の『イン・ザ・トワイライト』では、家路に就く黄昏どきの切なさや幸せの予感を音にしてみました。今後も引き続き新作に取り組んでいく予定なので、本番までに何曲仕上がるかわかりませんが、それも披露するつもりです」 会場となる東京文化会館小ホールで演奏するのは今回が初となる天平。ホールや楽器へのこだわりを次のように語ってくれた。 「斬新な表現や即興は、ホールそれぞれの音響や楽器との対話から生ま★10月23日(水)・東京文化会館(小)●発売中問東京音協03-5774-3030 http://t-onkyo.co.jpデビュー5周年を迎え、さらに高みを目指す天平(ピアノ)インタビュー 名人集団・古典四重奏団が精力的に取り組む、人気のレクチャー付きコンサート「ムズカシイはおもしろい!!」。今秋から始まるシリーズでは6回に分けて、モーツァルトの弦楽四重奏曲全23曲を取り上げる。夭折の天才が書いた弦楽四重奏曲は、時に無邪気に、時に深く人間の内面をえぐるなど、その表情は様々。一方で、モーツァルトはハイドンが完成させた弦楽四重奏というスタイルをさらに進展させ、その作曲技法においても、独特の深化をもたらした。年内に開催される3公演は、第1回(2013の1)で第1、2、8、14番、第2回(2013の2)で第3、9、クァルテットに聴くモーツァルトの天才古典四重奏団 レクチャー付きコンサート ムズカシイはおもしろい!!21、15番、そして第3回(2013の3)で第4、10、22、16番がテーマ。チェロの田崎瑞博が担当するレクチャーは、誰にでも理解できる易しい言葉で、時に実演を交えつつ、作品の秘密を解き明かし、やがて魔法のように聴く者を夢中に。「クラシックなんて難解なだけ。ましてや、クァルテットなんて…」と思い込んでいる人にこそ、ぜひ聴いてほしい。文:寺西 肇れてくると思います。ですから僕にとって、新しいホールや楽器との出会いは、活動を続ける上で不可欠なものなのです。今回はそれが、音の良さで評判の東京文化会館。なおさら楽しみで仕方がありません!」取材・文:渡辺謙太郎【2013の1】9月23日(月・祝)、【2013の2】10月26日(土)・東京文化会館(小)問アレグロミュージック03-5216-7131【2013の3】11月4日(月・祝)・第一生命ホール問 トリトン・アーツ・ネットワーク・チケットデスク03-3532-5702 ●発売中Ⓒ藤本史昭

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