eぶらあぼ 2013.9月号
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26 今年で20回目を迎える神奈川国際芸術フェルティバル。オペラやバレエ、さらには雅楽など多彩なラインナップで「音楽─その先へ」という未来志向の音楽祭を目指している。2000年より芸術総監督をつとめてきた作曲家・ピアニストの一柳慧によれば、同フェスティバルは神奈川・横浜周辺地域の聴衆に支えられてきたという。 「このフェスティバルは当初から、現代オペラや名作オペラを軸にし、音楽だけではなく、舞踊、演劇、美術という芸術の諸分野が一体となって活動してきました。この点で他にはあまりない特色をもっていると思います。地元に長く根付いてきたせいか、一種のフランチャイズ・フェスティバルのような様相を呈し、地元を中心に熱心な聴衆のみなさんが支持してくださって、この芸術祭に思い入れをもってくださっているように感じています。幅広い世代の人たちが楽しめる企画を用意しているので、より多くのお客様に来場していただけているのではないかと思います」 今年のテーマである「音楽─その先へ」。これを顕著に志向しているのが、フィンランドから来日する「Avanti! 室内アンサンブル」と、「音楽堂で聴く雅楽」だという。 「フィンランド大使館で文化担当の仕事をしていたチェリストのセッポ・キマネンさんと知り合ったのが縁で、2010年にフィンランドで開催されたアヴァンティ(Avanti!)・サマーサウンド・フェスティバルに私がテーマ作曲家として招待されました。Avanti! フェスティバルは現代音楽と古典とを組み合わせることでそれぞれの良さを引き出し、新しい音楽との出会いを可能にしようという意図をもっています。同フェスティバルからアンサンブルが来日する今回の神奈川公演(10月5日)では、シベリウス、ノルドグレン 、モーツァルト作品などに加えて、私の新作のクラリネット六重奏曲が初演されま一柳 慧(作曲家/神奈川芸術文化財団・芸術総監督)Ⓒ藤本史昭「地元のみなさんがこのフェスティバルに思い入れをもってくださっている」 インタビュー 一柳 慧(作曲家/神奈川芸術文化財団・芸術総監督)9月から11月にかけて、神奈川県民ホール、KAAT神奈川芸術劇場、神奈川県立音楽堂を会場に開催される『神奈川国際芸術フェスティバル』。「音楽̶その先へ」というテーマのもと、今年の注目すべき公演について芸術総監督の一柳慧が語ってくれた。

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