【18年6月定期】渡邊一正の『ローマの松』

 6月最後の日曜、東京フィルのオーチャード定期演奏会は、レジデント・コンダクター渡邊一正が登場。20世紀アメリカとイタリアの名曲を集めた、楽しく華麗なプログラムを披露する。渡邊はオーケストラの特長を活かして繊細な表現とスケール大きな音楽を引き出すことに長け、国内の各名門オーケストラからの信頼も厚い。今回は特に長年親密な関係を築いてきた東京フィルとの定期公演ということで期待が集まる。

左:渡邊一正/右:萩原麻未 C)Akira Muto

 前半はアメリカの2作品で、バーンスタインの快活な「キャンディード」序曲で開始。続いて、2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝、以来めざましい活躍を重ねる萩原麻未のピアノとの共演で、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を。フランスを拠点としている萩原によるガーシュウィンは注目で、彼女独特の音色とセンスあふれる好演になるはず。
 後半は近代イタリアのレスピーギの人気作2曲を。「リュートのための古い歌と舞曲 第3集」は弦楽合奏のための味わい深い名品。絢爛な管弦楽法の大家であるレスピーギは、古楽を深く研究していたことでも知られる。本作はその成果を弦楽の響きに込めた曲集で、3曲目の「シチリアーナ」は特に有名。典雅な時間を過ごした後は、一気に大編成のスペクタクルを満喫できる交響詩「ローマの松」で、きらめくフルオーケストラの音響に包まれる。

第909回 オーチャード定期演奏会
2018.6/24(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール

●出演
指揮:渡邊一正
ピアノ:萩原麻未*(第65回ジュネーヴ国際コンクール 第1位)

●曲目
バーンスタイン:『キャンディード』序曲
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*
レスピーギ:リュートのための古い歌と舞曲 第3集
レスピーギ:交響詩『ローマの松』