2014年度 武満徹作曲賞、第1位に大胡恵

 5月25日、東京オペラシティ コンサートホールで2014年度武満徹作曲賞本選演奏会が行われ、ハンガリーの作曲家・指揮者のペーテル・エトヴェシュの審査のもと、2014年度「武満徹作曲賞」の受賞者が決まった。

 受賞者と作品は以下の通り。

【受賞者・作品】
第1位 大胡恵(日本)
北之椿 ─ 親和性によるグラデイション第2番 ─ (賞金120万円)

第2位 ジョヴァンニ・ダリオ・マンジーニ(イタリア)
かくて海は再び我らを封じた (賞金80万円)

第3位 ティモ・ルートカンプ(ドイツ)
ブラック・ボックス (賞金60万円)

第4位 シラセート・パントゥラアンポーン(タイ)
覚醒 / 寂静 (賞金40万円)


 「武満徹作曲賞」は、より創造的な音楽文化の可能性を育むため、東京オペラシティ文化財団が世界の次代を担う若い世代に新しい音楽作品の創造を呼び掛け、ただ一人の作曲家が審査員をつとめるというユニークさと、受賞者のその後の活躍などで世界的に知られている。

 ペーテル・エトヴェシュは4人のファイナリストについて「それぞれに独自の個性的な声を持っていらっしゃいます。私は、本日の初演ののち、他のオーケストラがこれらの作品をプログラムに取り入れることを願ってやみません」と高く評価、なかでも第1位となった大胡恵《北之椿 ─ 親和性によるグラデイション第2番》については「旋律ではなく、音を絶えず繰り返す特殊なテクニックを用い、音色は地面から宙へと舞い上がります。オーケストラの音色に関してはこの作品がもっとも素晴らしく、輝くようなバランスの取れた音色がオーケストラをフルに生かして引き出されていました」と評した。

 大胡恵は受賞について「自分は、この作品を作る上でのアイデアは面白いと信じて、1年半付き合ってきたのですが、自分以外の誰かが面白がってくれるかどうかというのは、常に不安でした。ノミネートのお知らせを頂いたときに、ああ、分かってくれる人が世界にはいたんだなということが本当に嬉しかったのですが、本当に僕なんだろうか?とか、何かの間違いじゃないか?とずっと不安で、嬉しいと言っていいのか、驚きというのか、何とも言えないフィーリングがずっと自分のまわりを漂っていました。この何とも言えない感情というのは自分にとってはとても心地のいいもので、できれば一生続いてほしいなと思っています」と喜びを語った。

◆本選演奏会の模様はNHK-FMで放送される予定。
NHK-FM「現代の音楽」
2014年 7月12日[土]午前6:00 – 6:55/7月19日[土]午前6:00 – 6:55
*2回に分けて放送されます。 *放送日は変更になる場合があります。

NHKオンライン http://www.nhk.or.jp/
NHK-FM http://www.nhk.or.jp/fm/
番組ホームページ http://www4.nhk.or.jp/P446/

武満徹作曲賞: http://www.operacity.jp/concert/award/

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