《マノン・レスコー》 演出家キアラ・ムーティ スペシャル・インタビュー(3)

《マノン・レスコー》の演出を手がけたキアラ・ムーティのスペシャル・インタビュー3回目。女性としての作品への視点は興味深いものがあります。
インタビュー・文:田口道子

《マノン・レスコー》(2014年2月ローマ歌劇場公演より)
Photo:Silvia Lelli / TOR

ーー女性として、マノンの生き方をどう思う?
 マノンはモダンな女性だったと思います。マリー・アントワネットもそうでしたけれど、その進んだ考え方が当時の社会では認められなかったのです。彼女は自由でいたかったし、自分の思うままに生きたかったけれどそれができなかった。社会的な決まりがあったから、裕福でもなかった彼女は両親を失って保護者となっている兄に従うしかなかったのです。だから自分の意志で生きることはできなかった。少しでも自由を手に入れて幸せをつかもうと、できるだけのことをしたのですが、若いし、道をはずしてしまった訳です。その結果、マスネのマノンはもっとコケティッシュですが、プッチーニのマノンは悲劇で終わります。とてもイタリア的な物語になっていると思います。それで私は砂漠のイメージをライトモチーフとして舞台装置に表わしました。彼女は砂漠で死んでいくのですが、最後には彼女自身が砂漠なのだと叫びます。自分の中に砂漠を閉じ込めることが運命だったのです。あの時代は多くの女性が自分の意志通りには生きることができない運命でした。彼女は悲劇的な人生を選んでしまったのです。

《マノン・レスコー》(2014年2月ローマ歌劇場公演より)
Photo:Silvia Lelli / TOR


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【公演情報】
ローマ歌劇場2018年日本公演
《マノン・レスコー》
9月16日(日) 15:00 神奈川県民ホール
9月20日(木) 15:00 東京文化会館
9月22日(土) 15:00 東京文化会館

指揮: ドナート・レンツェッティ
演出: キアラ・ムーティ
美術: カルロ・チェントラヴィーニャ
衣裳: アレッサンドロ・ライ
照明: ヴィンセント・ロングエマーレ

■出演
マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ

ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団

*※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。

■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。

http://www.nbs.or.jp/stages/2018/roma/