《マノン・レスコー》 演出家キアラ・ムーティ スペシャル・インタビュー(1)

キアラ・ムーティ

 2017年10月上旬、《マノン・レスコー》の演出を手がけたキアラ・ムーティはローマ歌劇場を訪れ、早くも日本公演に向けての準備を開始。多忙なスケジュールの合間を縫っての緊急インタビューとなりましたが、さまざまな質問に丁寧に答えてくれました。
 キアラさんの父リッカルド・ムーティの著書の翻訳を手がけるほか、ムーティ一家とは旧知の間柄である田口道子さんがインタビュアーということで、構えることのない本心がナチュラルに語られたインタビュー、3回シリーズでご紹介します。


ーーオペラの演出を手がけるようになった理由は?

 多分私は生まれつき演出家的な要素を持っていたのではないかと思うんです。小さい時から何をするにも段取ったり、仕切ったりしていましたから。それと子供の頃から、父(リッカルド・ムーティ)が偉大な演出家と仕事をしている時に長い時間リハーサルを見学して、演出にはとても興味を持っていました。特に私がピッコロテアトロで勉強していた時の師でもあるジョルジョ・ストレーラーさんが父と一緒に仕事をしている時は、いつも劇場に通ってオペラが仕上がるまでをよく見ていました。歌手の音楽稽古から始まって、演出家が動きの指示をしたり言葉の意味やその内容を説明したりして少しずつ出来上がっていくのを見て、歌や衣裳や舞台装置や照明など舞台作りのすべてが素晴らしいことに思えました。オペラ劇場が魔法の玉手箱のように感じられて憧れのようなものがどんどん大きくなりました。8歳くらいの頃からいつも劇場に通っていたんですよ。家に帰っても歌ったり、衣裳のデザインをしてみたり、劇場が私の世界だったのです。
 劇場という世界での初めての仕事は女優でしたけれど、女優になってからもリハーサルをよく見ていました。これも自然に演出家的なセンスがあったからではないかと思います。父も「お前は何でも演出家的な物の考え方をするね、将来は演出家だね」といつも言っていました。「私は女優よ」と応えていたのですが、父は「女優の経験がきっと役に立つよ」と言ってくれました。実際に、女優や音楽家としての経験は、今演出家として仕事をする上で大変役に立っていると思います。

インタビュー・文:田口道子
スペシャル・インタビュー(2)につづく

《マノン・レスコー》(2014年2月ローマ歌劇場公演より)
Photo:Silvia Lelli / TOR

【公演情報】
ローマ歌劇場2018年日本公演
《マノン・レスコー》
9月16日(日) 15:00 神奈川県民ホール
9月20日(木) 15:00 東京文化会館
9月22日(土) 15:00 東京文化会館

指揮: ドナート・レンツェッティ
演出: キアラ・ムーティ
美術: カルロ・チェントラヴィーニャ
衣裳: アレッサンドロ・ライ
照明: ヴィンセント・ロングエマーレ

■出演
マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ

ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団

*※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。

■料金(税込)
S席¥54,000 A席¥47,000 B席¥40,000 C席¥33,000
D席¥26,000 E席¥19,000 F席¥12,000
学生券¥8,000
*学生券はNBS WEBチケットのみで2018.8/3(金)18:00より受付開始。

http://www.nbs.or.jp/stages/2018/roma/