《タンホイザー》期待の歌手紹介(2)

 バイエルン国立歌劇場2017年日本公演《タンホイザー》に出演する歌手を紹介する2回目は、エリーザベト役のアンネッテ・ダッシュとウォルフラム役のマティアス・ゲルネです。この二人に共通するのは、世界中で活躍しているドイツ出身のトップ・スターであるというだけでなく、いずれも作品への深い解釈と表現力が高く評価されているという実力派。日本公演ならではのキャスティングの実現です!

アンネッテ・ダッシュ Photo:Daniel Pasche

●アンネッテ・ダッシュ
 ベルリンに生まれ、ミュンヘンとグラーツで学んだアンネッテ・ダッシュは、もはや若手とはいえない充実の活躍ぶりをみせているソプラノ。世界中の歌劇場で認められています。
 我が身を犠牲にしてタンホイザーの魂を救おうとするエリーザベトは、オペラが進むに連れ、控えめで素朴な女性から、タンホイザーを断罪する一同を一喝する強さを見せる女性へ。つまり、ワーグナーはこの役に、無垢な少女から劇的に成長する女性を求めたのです。豊かな声と容姿に恵まれたダッシュは、大舞台で歌うことと並行して、自分自身が歌うことの楽しさを再認識するために、生地で小規模なサロン・コンサートを開いているとのこと。世界中で活躍するプリマ・ドンナであるとともに、自身の内面に一つの芯をもつダッシュは、ワーグナーが望んだエリーザベト歌手の素養を備えているといえるでしょう。

 

 

 

 

マティアス・ゲルネ Photo:Marco Borggreve

●マティアス・ゲルネ
 ワイマール生まれのバリトン、マティアス・ゲルネが紹介されるとき、必ずといっていいほど、彼が深い楽曲解釈によって歌うことに取り組んでいることが挙げられています。そしてその声質については、“流麗な”とか“心地よい”といった言葉が用いられます。
 ウォルフラムは、タンホイザーの友人であり、密かにエリーザベトを愛しているという役どころ。友の心情をはかり、愛する人の苦しみを感じながら自身の心をも表す複雑な表現、そして騎士としての気高さを感じさせる輝きをもったカヴァリエ・バリトンが求められます。このオペラの聴きものの一つとなるウォルフラムが歌う《夕星の歌》は、エリーザベトへの叶わぬ想いを穏やかに歌うもの。ゲルネの歌には、きっと感動の涙を誘われるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【公演日程】
バイエルン国立歌劇場日本公演
《タンホイザー》
作曲:R.ワーグナー
演出:ロメオ・カステルッチ
指揮:キリル・ペトレンコ
9月21日(木) 3:00p.m.
9月25日(月) 3:00p.m.
9月28日(木) 3:00p.m.
会場:NHKホール

■予定される主な出演
領主ヘルマン:ゲオルク・ゼッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ

http://www.bayerische2017.jp/tannhauser/