マイヤー監督が語るフォルクスオーパーの《メリー・ウィドウ》

 フォルクスオーパーの総裁ロベルト・マイヤーは、オーストリア政府から“宮廷俳優”の称号を授与されている舞台俳優。1974年以来33年にわたってウィーン・ブルク劇場で活躍し、2007年からフォルクスオーパーの総裁に就くとともに、同劇場の舞台に立つほか、映画やTVにも出演し、演出家としても成功をおさめています。今回の日本公演でも、《こうもり》のフロッシュ役、《メリー・ウィドウ》のニェーグシュ役を演じます。
 ここでは、自身が演じるニェーグシュのことも含めて、フォルクスオーパーの《メリー・ウィドウ》の魅力について語られた言葉をご紹介します。

「《メリー・ウィドウ》の舞台はパリにおけるポンテヴェドロ公館です。台本上、必ずしもウィーン仕様に拘束されるわけではありません。この作品が全世界で、さまざまな形体で上演されている理由でもあります。だいたい国名自体が旧ユーゴスラビア共和国の南端、モンテネグロからの造語であって、実在する国ではありませんからね。そこで(演出家)マルコ・アルトゥーロ・マレッリにはさまざまな可能性があり、彼の持ち味であるお洒落で洗練された特徴が十二分に生かされたインターナショナル志向になっています。
 それでも、ウィーン色が色濃く感じられるのは、我々のアンサンブルだからこそ、です。いずれにせよ、ポンテヴェドロはバルカンの小国であり、パリ公館にしても、それほど立派な建物のはずはないわけだけど、マレッリは自分で担当した美術でもアール・デコ様式で豪華に飾り立てています。ただ、この国にはお金が無いのも同然だから、執事のニェーグシュを演じる私が登場するときは高級車ではなくて自転車で、ちゃんと“ポンテヴェドロ公国公用車”のプレートがついているんですよ。」

執事ニェーグシュが乗る自転車は“ポンテヴェドロ公国公用車”と書かれたプレートが付いています。 Photo:Photo:Dimo Dimov/Barbara Pálffy/Volksoper Wien

執事ニェーグシュが乗る自転車は“ポンテヴェドロ公国公用車”と書かれたプレートが付いています。
Photo:Photo:Dimo Dimov/Barbara Pálffy/Volksoper Wien

 実はニェーグシュは、当初のプランより出演シーンが多くなったという経緯があったとか。そういえば、控え目であるはずの執事ですが、酔っぱらったダニロを介抱する場面や、男たちや女たちがそれぞれ威勢よくグラスを掲げるときの決めポーズはニェーグシュも欠かせません。極めつけはアンコール。「女、女、女のマーチ」が景気よく歌われるのが慣例となっていますが、なんとその指揮はニェーグシュが振っているのです!


いつの間にかピットに現れたマイヤー扮するニェーグシュがピットの指揮台に立って指揮。よく見ると、演奏するオケのメンバーも笑顔がこぼれています。

出演者全員が歌い踊るアンコールの舞台上はこんなふう。 Photo:Dimo Dimov/Barbara Pálffy/Volksoper Wien

出演者全員が歌い踊るアンコールの舞台上はこんなふう。
Photo:Dimo Dimov/Barbara Pálffy/Volksoper Wien

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