コンサート × 美術鑑賞=アートテラー・とに〜と歩く、東京春祭2018

 コンサートも美術鑑賞も、どちらも楽しめる贅沢なイベント、東京・春・音楽祭。ぜひとも、音楽と美術とをあわせて楽しみたいところですが、“プログラムも美術展も多くて、どの組み合わせで楽しめばいいんだろう?? ”と頭を抱えている方も少なくないでしょう。そんな悩める皆様のために、昨年に引き続き、今年も「コンサート×美術鑑賞」のスペシャルなアートツアーを開催する運びとなりました。
文:アートテラー・とに〜(アートテラー)

■目玉はベラスケスの名品が集まる『プラド美術館展』と『ブリューゲル展』


 スペインの国民的画家ベラスケスの名品が過去最多となる7点も来日する2018年大本命の展覧会『プラド美術館展』@国立西洋美術館、そして、近代美人画の最高傑作といわれる上村松園の《序の舞》が修復後初公開されることでも話題の『東西美人画の名作』@東京藝術大学大学美術館と、この春、上野では東京・春・音楽「祭」に相応しい華やかな美術展が多く開催されています。それらの中から今回セレクトしたのは、東京都美術館で絶賛開催中の『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』です。美術界の華麗なる一族・ブリューゲル一族に焦点を当てた展覧会。16世紀のフランドルを代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世の作品を筆頭に、ピーテル・ブリューゲル2世ら二人の息子、孫、さらにひ孫の代の作品など約100点が紹介されています。出展作の多くが、普段公開されていない個人所蔵の作品。しかも、そのほとんどが日本初公開です。この貴重な機会を逃すと、おそらく、もう二度とそれらの作品を目にすることはないでしょう。

ヤン・ブリューゲル1世《水浴をする人たちのいる川の風景》
1595-1600年頃 Private Collection, Switzerland

 さてさて、今展覧会の目玉の一つともいえるのが、ポスターなどのメインビジュアルにも使われているピーテル・ブリューゲル2世の《野外での婚礼の踊り》。花嫁を祝して、多くの農民のカップルが躍る。なんとも賑やかで陽気な作品です。こちらの《野外での婚礼の踊り》をはじめ、今回の”ブリューゲル展”には、耳を澄ませば音楽が聴こえてくるような作品が多く出展されています。

ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》
1610年頃 Private Collection

ヤン・ブリューゲル2世《聴覚の寓意》
1645-1650年頃 Private Collection

■美術展をさらに楽しむためのコンサート

 そんな美術展をさらに深く味わうために、今回のツアーでは、直前に『ミュージアム・コンサート「ブリューゲル展」記念コンサート vol.1』にて、坂本龍右さんのリュートの演奏と、ペリーヌ・ドゥヴィレールさんのソプラノの歌声をたっぷりとご堪能いただこうと思います。ブリューゲル一族が活躍したアントワープとその周辺にゆかりある音楽を聴き、その余韻が残るその足で、展覧会場を訪れれば、きっと普通に鑑賞する以上に、響きあうものがあるはずです。

左:坂本龍右 右:ペリーヌ・ドゥヴィレール

 また、ブリューゲル展の鑑賞後には、同じく東京都美術館内にある佐藤慶太郎記念アートラウンジへと移動。アンダーソンの「フィドル・ファドル」やピアソラの「鮫」など、多彩な演目が楽しめる『桜の街の音楽会 黒川実咲(チェロ)&土屋恵(ピアノ&アコーディオン)』もご堪能頂きます。コンサート→美術展→コンサート。贅沢で濃厚な芸術鑑賞体験をお楽しみくださいませ。

左:黒川実咲 右:土屋 恵

■上野の杜の魅力にも注目
 
 さらに、今回のツアーでは、上野の杜の魅力をもっと知って頂くために、上野駅や上野公園近辺の美術作品を紹介するお散歩感覚のコーナーも用意しています。実は、上野の美術作品は、美術館以外にもあるのです!例えば、今年の大河ドラマの顔、「西郷どん」こと西郷隆盛の銅像が上野公園にありますが、あの銅像もれっきとした美術作品です。西郷さんを正面から見ると、頭部がちょっと大きく感じられ、ややバランスを欠いている印象を受けるかもしれません。しかし、実は、この銅像は、下から見るのが正しい鑑賞法。足元から見上げると、遠近法でちょうどバランスよく見えるように計算されているのです。作者は、日本の近代彫刻を切りひらいた彫刻家・高村光雲。ちなみに、西郷さんが連れている愛犬・ツンは、高村光雲の作ではなく、弟子の後藤貞行の作です。他にも、歌川広重が描いた江戸の名所や、日本を代表する洋画家の巨大壁画など、上野エリアにはまだまだたくさん美術作品があるのですが、それは当日のお楽しみに。

 さまざまな時代と地域の音楽と美術が林立する。まさに広大な芸術の杜・上野。”一人で歩くと、迷ってしまうかも・・・”と不安な方も、上野の杜にはよく足を踏み入れているという方も、ご参加のほどお待ちしております。


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【アートテラー・とに〜×東京・春・音楽祭×ぶらあぼ コラボ企画】
■「アートテラー・とに〜と歩く、眼と耳で楽しむ『東京・春・音楽祭』満喫ツアー」

 アートテラー・とに〜さんといっしょに、実際に美術展とコンサートを楽しんでみませんか?
 アートテラー・とに〜×東京・春・音楽祭×ぶらあぼ コラボ企画として、ミュージアム・コンサート「ブリューゲル展」記念コンサートvol.1坂本龍右(リュート)&ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ)@東京都美術館 講堂、『ブリューゲル展』、桜の街の音楽会を巡るツアーを3月18日(日)に実施します。

●実施日程:
2018.3/18(日)13:00〜16:50
適宜お昼をとっていただいて13:00までに集合
(集合場所@上野駅 ※集合場所等の詳細はお申し込みされた方に直接ご案内します)
13:00〜13:45 上野駅、公園近辺のアート散策
14:00〜15:00
●ミュージアム・コンサート「ブリューゲル展」記念コンサートvol.1
坂本龍右(リュート)&ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ)@東京都美術館 講堂
15:00〜16:30 「ブリューゲル展」@東京都美術館
16:30〜16:50
●桜の街の音楽会 黒川実咲(チェロ)土屋 恵(ピアノ&アコーディオン)@東京都美術館 佐藤慶太郎アートラウンジ
適宜解散
●定員:15名
●参加費: 3700円(展覧会およびコンサート料金含む)
●お申し込み
参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらのメールフォームからお申し込みください
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/

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【Profile】
アートテラー・とに〜

日本でただ一人しかいない、アートテラー。「敷居が高い…」「難しい…」といった“美術”の負のイメージを払拭すべく、その魅力をわかりやすく、かつ面白くトークで伝える。よしもと芸人時代につちかったしゃべりの技術と、笑いのセンスで独自のトークガイドを展開。これまでに横浜美術館や森美術館など、数々の美術館で公式トークガイドを担当、最近では、雑誌、ラジオやテレビをはじめ、さまざまなメディアにも進出している。
アートテラー・とに〜の【ここにしかない美術室】 http://ameblo.jp/artony/
著書『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』

 

 

 

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【公演情報】
ミュージアム・コンサート
「ブリューゲル展」記念コンサート vol.1
坂本龍右(リュート)& ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ)

2018.3/18(日) 14:00 (約60分公演) 東京都美術館 講堂

●出演
リュート:坂本龍右
ソプラノ:ペリーヌ・ドゥヴィレール

●曲目
バルビロー:楽しい歌、喜びを奪われた男
カニス:私の恋人は神様から贈り物をもらった
スサート:バスダンス、ロンド
クレメンス・ノン・パパ:私の奴隷に来て
プヴェルナージュ:天にまします我らの父よ
ファレーズ:ブランル、ウンガレスカ、サルタレッロ
フェニアン:ディアナはもう恋人でなくなった
ヒューウィット:リュートのためのファンタジア
ゲドロン:それは3月の時
作者不詳:アントワープのパッソメッツォ
ヴァレリウス:
 誇り高き心
 私は悲しむ
ガストルディ:誰よりも美しいクロリス

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■桜の街の音楽会 東京都美術館
2018.3/18(日)16:30〜(約20分)
佐藤慶太郎記念 アートラウンジ

●出演
チェロ:黒川実咲
ピアノ/アコーディオン:土屋 恵

●曲目
アンダーソン:フィドル・ファドル
ピアソラ:鮫
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
ピアソラ:タンティ・アンニ・プリマ

 

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■『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』
2018.1/23(火)〜4/1(日)
東京都美術館 企画棟企画展示室
時間:9:30〜17:30(入室は閉室の30分前まで、金曜のみ20:00閉室)
休室日:月曜日
料金:一般1,600円 大学生1,300円 高校生800円 65歳以上1,000円
公式ホームページ:http://www.ntv.co.jp/brueghel/