東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ vol.5 エネスク――ルーマニアン・ラプソディ

 隠れた作曲家や作品を再発見できる、同音楽祭屈指の名シリーズである「東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ」。今回はジョルジェ・エネスク(1881〜1955)を特集する。ルーマニアが生んだ国民的音楽家であるエネスクは、20世紀の重要な巨匠ヴァイオリニストであり、ユニークな作品を残した名作曲家としても知られ、教育者としても幾人もの名奏者を育てた。偉人というべき存在ながら、その作品群を実演で聴く機会はまだ稀少であり、名手の演奏でまとめて体験できる本公演は、実に意義深い、注目公演となる。

左:小林美恵 C)武藤章/右:寺嶋陸也 C)渡辺力

 ルーマニア狂詩曲第1番op.11-1は、エネスク作品の中では最も演奏機会の多いオーケストラ作品だが、ヴァイオリンとピアノの編成で聴くことで、より作品本来の民族性や熱気を楽しめるかもしれない。1940年作の「幼い日の印象」op.28では、民族的な響きと現代性が表現される。メインは、エネスクの最高傑作とも称えられる、1926年作のヴァイオリン・ソナタ第3番。やはり民族的な音調に、むせかえるような濃密な情熱、そしてエネスク一流のすさまじい妖気漂う名品だ。
 これらを、日本の代表的ヴァイオリニストの小林美恵と、自身も作曲家にしてピアノの名手でもある寺嶋陸也という理想的なデュオで体験できることも嬉しい。伊東信宏によるガイドも加わり、ルーマニアの無二の巨匠の世界を堪能する休日となる。

東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ vol.5
エネスク――ルーマニアン・ラプソディ
~小林美恵(ヴァイオリン)&寺嶋陸也(ピアノ)

2018.3/21 (水・祝)15:00 上野学園 石橋メモリアルホール

●出演
ヴァイオリン:小林美恵
ピアノ:寺嶋陸也
お話:伊東信宏

●曲目
エネスク:
ルーマニア狂詩曲 第1番 イ長調 op.11-1
《幼い日の印象》 ニ長調 op.28
ヴァイオリン・ソナタ 第3番 イ短調 op.25

●料金
S席 ¥3,600 A席 ¥2,100 U-25※ ¥1,500

一般発売:2018年2月18日(日)10:00
※ U-25チケットは、2018年3月9日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)