語りと音楽――永井荷風

 明治時代に生まれ、第二次大戦後の昭和まで生きた、小説家の永井荷風(1879〜1959)をフィーチャーする公演。20代の永井はアメリカとフランスに渡り、頻繁にオペラやコンサートに通いつめ、日記に鑑賞記録を残した。当公演では、それらの記録をまとめた「西遊日誌抄」の一部などをアナウンサー松平定知が朗読し、気鋭の歌手たちがそこに登場するオペラの名旋律を再現するという趣向。
 歌手にはソプラノの盛田麻央、テノールの高橋淳、バリトンの友清崇と、すでに日本のオペラの舞台に欠かせない存在となっている気鋭のソリストたちがそろい、オペラの現場経験豊かな朴令鈴のピアノと、松平の朗読と共に、当時の永井の感動をよみがえらせる。演目は《ワルキューレ》《トスカ》《タンホイザー》《カルメン》《椿姫》など、人気演目中の名アリアが中心。日本ではまだ西洋音楽が身近ではなかった明治時代に、永井が本場の一流歌劇場で体験した鮮烈さはいかばかりだったのか。

左:松平定知 上段左:盛田麻央 上段右:高橋淳
下段左:友清崇 下段右:朴令鈴

語りと音楽――永井荷風
〜明治39年、荷風、ニューヨークにてワグネルを聴く

2017.3.29[水]14:00 東京文化会館 小ホール

■出演
朗読:松平定知
ソプラノ:盛田麻央
テノール:高橋 淳
バリトン:友清 崇
ピアノ:朴 令鈴

■朗読作品
 永井荷風:
  『西遊日誌抄』 より
  「雲」 (『ふらんす物語』) より

■演奏曲目
 ワーグナー:楽劇 《ワルキューレ》 より 「冬の嵐は5月には過ぎ去り」
 プッチーニ:歌劇 《トスカ》 より 「星は光りぬ」
 ワーグナー: 歌劇 《タンホイザー》 より 「夕星の歌」
 ビゼー:歌劇 《カルメン》 より 「ハバネラ」
 ヴェルディ:歌劇 《椿姫》 より 「さようなら過ぎ去った日よ」

■料金(全席指定)
¥4,600 U-25 ¥1,500