街歩き2016●コース5 日暮里〜上野


①朝倉彫塑館

日暮里駅から上野公園へ行く間にも立ち寄るべきスポットはたくさんあるが、中でも必ず訪れてほしい2か所をご紹介する。
日暮里駅西口から5分ほどのところにある「朝倉彫塑館」が4年に及ぶ保存修復工事を経てリニューアル・オープンしたのは、2013年秋。その丁寧な修復の様子は、館内でも流れているVTRで詳しく知ることができる。とりわけ、アトリエの床の敷板がいったんすべて剥され、下の基礎の部分を交換した上で、一枚一枚もとの場所に戻されていく、という作業の様子は圧巻だ。
彫塑家の朝倉文夫は、東京美術学校(現東京芸術大学)を卒業した明治40年にこの地にアトリエと住居を建て、その後増改築を繰り返しながら晩年までを過ごした。大きな彫塑を制作するためアトリエに設えられた昇降台や、部屋ごとに特徴のある床柱、オリーヴの大木が存在感を放つ屋上庭園など、隅々まで趣向の凝らされたこの空間で鑑賞する朝倉の彫塑は、他の場所(上野駅中央改札前の《翼の像》や早稲田大学の《大隈重信像》)とはまったく違って見えてくる。
なお、建物保全等の理由によりスリッパを使えないため、靴下を持参するよう案内されている。

写真提供:朝倉彫塑館


朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)
〒110-0001 台東区谷中7-18-10
TEL 03-3821-4549
開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月・木曜日(祝日の場合は翌日)
年末年始、特別整理期間等
HP http://www.taitocity.net/taito/asakura

 

②カヤバ珈琲

上野桜木の交差点に100年近く前から鎮座する喫茶店「カヤバ珈琲」は、地域の人たちから町歩きで訪れる人たち、すぐ近くの東京藝術大学の学生たちまで、みんなの憩いの場所だ。1階のテーブル席も2階のお座敷席も、のどかな朝、にぎやかな昼、少し大人な夜と、時間によってまったく違う顔になる。夜はお座敷席の窓のすりガラスに、信号の赤や青の光がまるで舞台照明のように幻想的に映る。
昭和13年(1938年)から70年近く続いた「カヤバ珈琲店」は平成18年に惜しまれつつ閉店したが、たくさんの人の力が集まって、3年後に今の「カヤバ珈琲」に生まれ変わった。夜になると光る黄色い看板も、革張りで低めの椅子も、旧カヤバの時とほとんど変わらない。
看板メニューは何と言っても、旧カヤバの味を受け継いだたまごサンド(400円)とルシアン(500円)。ふわふわのオムレツをふわふわの食パンで挟んだたまごサンドは、食べた瞬間思わず口元がゆるんでしまうような幸せな味がする。コーヒーとココアをブレンドしたルシアンは、やはり旧カヤバ時代から使われているかわいらしい白いカップでいただくことができる。食事やおつまみも充実していて時間帯によっても変わるので、ニーズに合わせて何度でも訪れたい。

カヤバ珈琲
〒110-0001 台東区谷中6-1-29
TEL 03-3823-3545
営業時間:月~土 8:00~23:00
日 8:00~18:00
定休日:なし
席数:1階25席、2階25席
HP http://kayaba-coffee.com/