街歩き 湯島〜上野 昼編(3)有職組紐 道明

有職組紐 道明
 湯島は名所や旧跡が多いこともあり、食べ物以外にもお土産の選択肢が豊富。その中で、クラシック音楽ファンには少々変り種かもしれないが、「有職組紐 道明」の門をぜひ一度叩いてみて欲しい。
 織物とも編み物とも異なる組紐は、日本で高度に発達した伝統技術。明治時代以降は、和装の帯締にも活用されてきた。この組紐は丸台と呼ばれる道具で作られており、1本を組むのに長い時は1週間前後もかかるという。
 1652年創業の道明は、現当主の道明葵一郎さんで10代目。神社仏閣や博物館に遺された歴史的な組紐の復元なども手掛ける由緒ある老舗だ。店頭には常に500種以上の帯締が色鮮やかに並び、店員が季節やシチュエーションに合わせた最高の1本を選んでくれる。 
 和装を愛する文化人や芸能人も多数愛用するこの帯締。値段も当然立派なので、一般の方が気軽に購入するのは難しいかもしれない。だが、大学で建築を学んだ若き当主は、その技術を駆使し、新しいライフスタイルに合った組紐を提案することにも積極的。「洋装の男性も和装の女性とお揃いで着けられるように」というコンセプトで作られたネクタイや蝶ネクタイは、その好例だ。手作りの一点ものということを考えると、価格も巷の高級ネクタイ並に抑えられているのも嬉しい。近い将来、「東京・春・音楽祭」に集う演奏家や聴き手が、あちこちでこのネクタイを締めている。ふと、そんなお洒落で華やいだ未来を夢想してしまった。

有職組紐 道明(ゆうそくくみひも どうみょう)
文京区湯島3-45- 11(現在、店舗建て替え中のため、年末までこちらの仮店舗)
TEL 03-3831-3773
営業時間
月~土:10:30~18:30
日・祝日:10:30~17:00
休業日:無休
http://www.kdomyo.com/

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