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渡辺克也篠﨑和子マルモ・ササキ江口 玲寺神戸 亮深いつながりのある音楽と絵画。その歴史に思いを馳せる フェルメールの数少ない作品の中には、音楽をテーマにしたものがかなりある。そこに登場するのはリュート、ギター、シターン(弦楽器)、ヴァージナル(鍵盤楽器)、フルート(管楽器)など。17世紀のオランダで活躍したフェルメールの絵画からは、おそらく裕福な市民たち、特に女性たちが楽器に親しんでいたことが分かる。同時に音楽と恋愛には深いつながりがあり、フェルメールの絵画の中にはその関係を暗示する作品もあると言われている。 フェルメールに限らず、音楽、楽器がテーマとなっている絵画は非常に多い。個人的に思い出すのは、カラヴァッジョの『リュートを弾く若者』『愛の勝利』、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『辻音楽師のけんか』『ハーディガーディ弾き』など。これらはフェルメールより少し前の時代、ちょうどオペラが誕生した時代に近い作品である。そこに描かれている楽器は、おそらく初期のオペラでも使われていたに違いない。 またルネサンス、バロック期(16世紀~18世紀)の音楽を再現している演奏家の中には、すでに現在では失われた楽器を、絵画の中に再発見して、そこから楽器を新たに再創造して演奏している人もいる。 今回、この東京都美術館で行われる「美術と音楽~絵画に描かれた楽器たち」では、全5回にわたって様々な作品が演奏される。まずオーボエ、次いでハープ、チェロ、ピアノ、ヴァイオリン(古楽器)。ルネサンス、バロック時代に限らず、20世紀の作品までを含む非常に幅広い時代を取り上げている。4月3日に登場する篠﨑和子の演奏作品は20世紀初頭のフランスの作品が多いが、それはフランス印象派の時代に重なる。4月6日の江口玲はリストのピアノ曲を演奏するが、作曲家と同時代に生きた画家ドラクロワは友人ショパンの有名な肖像画を描いている。そういう音楽家と画家の関連もこの演奏会シリーズの中で発見できると面白い。 演奏会では、演奏に先立って美術史家のプレトークも予定されている。そこでどんな話題が飛び出すかも楽しみだ。リニューアルされたばかりの東京都美術館で音楽と絵画の時間を堪能しよう。(K)東京都美術館のミュージアム・コンサートでは、「絵画に描かれた楽器たち」というテーマにちなんだプレトークを予定。興味深い話の後で、より一層演奏が楽しめること間違いなし。プレトークからぜひ足を運んでみよう。プレトークで、さらに楽しもう!+α information©Kiyoshi Kamatani©Satoru MITSUTA©Atsushi Yamaguchi©堀田力丸©T. Nagata13:30~13:50 お話:須沢友香子(美術史家)カラヴァッジョ『リュートを弾く若者』(1590年頃)フェルメール『ヴァージナルの前に立つ女』(1671年頃)37上野で 上野で 聴聴く!く!

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