harusai2012ebravo
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CCheck!heck!色々あるので、今回の全曲演奏会ではより洗練されたデュオをお届けできるように頑張ります。――二人の初共演は1990年にまで遡るが、本格的に活動するようになったのはベートーヴェンのソナタの録音に着手したこの3~4年。お互いから見た演奏家としての印象をきいてみた。漆原:練木さんはずっと憧れのピアニストでしたから、共演する際はいつも頼りきりです。ピアノから、打楽器的というよりオーケストラのような響きを引き出してくださるので、弦の音色とも非常にマッチします。練木:音楽は総合的なものであるというのが僕の持論なので、ソロ以外にもカルテットなどで幅広く活躍されている漆原さんとは音楽観が非常に合うのです。技術の確かさはもちろん、楽譜も深く読みこまれるので、とても演奏しやすいです。――そして今回もう一つの注目は、インターネットラジオ「OTTAVA」のサイト上で本公演の映像が生中継されるライブビューイング。その映像は、生中継後2ヵ月ほどオンデマンドでも視聴できる。映像付きの中継は「OTTA-VA」にとっても新しい試みとなる。練木:やってみないとわかりませんが、カメラを意識してどうしても緊張するでしょうね(笑)。新しい視聴法の流れに私たちが加われるのは光栄ですし、今後も積極的に参加したいです。漆原:録画ではないので、失敗しても削れないからドキドキしますね! (取材・文:渡邊謙太郎)――足かけ3年で取り組んだ、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集のCDリリースを昨年完結したヴァイオリンの漆原啓子とピアノの練木繁夫。この実力派デュオが「東京・春・音楽祭」に登場する。演目はCDと同じベートーヴェンのソナタ全曲。しかも1日で全10曲を演奏する“離れ業”に挑戦することでも注目を集めている。漆原:公演は2部構成で、前半に第1~5番、後半に第6~10番を弾きます。3年前に3日間に分けて全曲演奏したことはありますが、1日で全曲というのはこれが初めてです。ベートーヴェンの音楽の変遷を感じていただくには、同じホールで一気に演奏するのがいいと思い、私たちから提案しました。作曲順に聴いていただくと、第1~3番が1セットだったり、第4&5番が元々はセットで出版される予定だったりしたことが、よくおわかりいただけると思います。――ずばり、聴きどころは。練木:一般的にピアノ主体といわれる第1~4番では、当時ピアノ曲の作曲家としても知られていたベートーヴェンが、二つの楽器のバランスをどのように考えていたのかが聴き取れると思います。その後、第5番『春』以降はヴァイオリンの華々しい技巧が際立っていく中、第6~8番のセットではベートーヴェンがモーツァルトの影響から脱し、自分の音楽を創り上げていく過程をお楽しみいただけます。そして、彼がさらに一段と高いレベルへ飛翔しようとする壮年期の野心を第9番『クロイツェル』で浮き彫りにした後、最後の第10番では、交響曲第8番の静けさや穏やかさに通じる後期の彼の境地を感じていただければ嬉しく思います。また、昨年完結した全集録音を聴き直してみると反省点や新しい発見もClose-up!Close-up!「OTTAVA」の東京春祭・特別サイトに注目!TBSが運営するクラシック音楽専門のインターネットラジオ「OTTAVA」。「OTTAVA」の東京春祭・特別サイトで、漆原&練木の「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」が映像付きで生中継される。当日、会場に足を運べない人は必見!3/17(土)13:00~22:00OTTAVA公式サイトhttp://ottava.jp/漆原啓子&練木繁夫インタビュー~ベートーヴェンの変遷を1日で聴く~練木繁夫 練木繁夫 ©大窪道治©大窪道治漆原啓子 漆原啓子 ©篠原栄治©篠原栄治★P22でCDのプレゼントがあります。31上野で 上野で 聴聴く!く!
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