harusai2012ebravo
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Aいずれにせよ、都響とインバルのコンビネーションの一番鮮烈なところがはっきりとでる演奏になるのでしょうね。K絶対そう思います。ベテラン音楽家の新しい挑戦I二つの大きな目玉に加えて、この音楽祭を本当に特徴づけてるのは、小さな公演がすごくたくさんあるということですよね。Aそうなんですよ。I青澤さんはどの公演を楽しみにされていますか?A毎春楽しみな「歌曲シリーズ」ですが今回、白井光子&ハルトムート・ヘルのリート・デュオ(3)は、日本の歌をやるんですね。意外といえば意外で、とても面白い。白井さんはドイツ・リートの第一人者として長く世界で活躍され、リートにおける言葉の重要性、つまりドイツ語の重要性をしっかりふまえてやってきた人です。日本の抒情歌は元々、人物像が描きにくいと思うのですが……。I確かにそうですね。A詩の読みこみは同じようにしていくのでしょうが、組み立て方がドイツ語とは明らかに違う部分があるから、それを白井さんがどんなふうに歌うのかが非常に興味深いですね。こういうチャレンジングな活動の場が、この音楽祭に生まれているというのがとてもいいなぁと思います。I他にベテランの音楽家では、原田禎夫のチェロ・シリーズ(4)もありますね。こちらは毎年2公演ずつで3年間続くそうです。A原田さんは、70年近い人生をある意味で総括する時期にきているのだと思います。おそらく、彼がやってきた全てのことをこのシリーズで集約してくれるのでしょうね。白井さんもそうですが、ここにもベテランの音楽家のさらなる挑戦があります。東京春祭はこういう、音楽祭に一つの奥行きを与えるような人を大事にしていますよね。時間を重ねてきたベテランの音楽を、よい形でじっくりと聴くことができると思います。誰もが気軽に聴ける好企画マラソン・コンサートにも注目I片桐さんが特に注目しているコンサートは何ですか?K東京文化会館でやるマラソン・コンサートvol.2「ドビュッシーとその時代」(5)ですね。I昨年のvol.1は「ウィーン、わが夢の街~マーラーが生きた世紀末ウィーン」でしたね。Kマラソン・コンサート、すごく面白いです。Aこの時期の上野は桜が綺麗ですから、途中で抜けて桜を見に行って、また戻ってくるというゆるやかな楽しみ方もできます。Kこういう時じゃないと行かないようなコンサートって、いくつかあると思うんですよね。そういう意味でいうとマラソン・コンサートは、この音楽祭の中でも楽しい企画の一つだと思っています。I今年7月からブリヂストン美術館でやるドビュッシー展と連携しているそうですよ。A“皿の中身が場で活きる”みたいなことがすごくあると思うんです。場所が賑わっている時に、そこへ訪れる人の感情もオープンになって原田禎夫 ©齋藤清貴原田 節オンド・マルトノ寺神戸 亮 ©T. Nagata27上野で 上野で 聴聴く!く!

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