harusai2012ebravo
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レエ付き上演を企画しているとのことで、それに先立って今回は《ペトルーシュカ》と《火の鳥》を演奏します。Aとっても面白いですね。ワーグナー・シリーズという目玉が一つあるのに対して、今年からストラヴィンスキーのシリーズも始まるなんて。Iちなみに、インバルは現在のポジション(東京都交響楽団のプリンシパル・コンダクター)についてからストラヴィンスキーの作品を振っていないんだそうです。Aこれまで都響で採り上げてきたマーラーなどで再三つきつめられている色彩感が、ストラヴィンスキーをやる時にどれだけ違う形で提示されるかということも楽しみですよね。I都響の管楽器セクションは強力ですから、これは非常にいいかもしれないですね。片桐さんはいかがでしょうか?Kインバルが持っている指揮者としての個性が、ストラヴィンスキーに結構フィットするんじゃないかなって気がしてるんですよ。僕は正直いうと、インバルはマーラーというよりもむしろ現代寄りのストラヴィンスキー以降の作曲家のほうが、より強烈ではという感じがあったんです。だからこの公演は、はっきり言ってすごく楽しみ。しかも、都響とのリレーションシップがとてもうまくいっているので、さらに期待が高まります。Iなるほど。Kインバルと都響のマッチング、本当にいい感じですよ。今インバルを聴くんだったら、都響とのコンビで聴くのが世界中で一番いいんじゃないかなぁ。インバルがベルリン・フィルを振ったからといって、彼の個性が出るかというと、そういう指揮者ではないんですよね。インバルは都響のような日本のフレキシブルなオケで、やりたいことをガンガンやっている時の方がものすごく底力を出すというか、違う面も見せてくれるような気がしているんですよ。Aインバルの主張や真価が出やすいということでいうと、都響では非常にいい理解を得ているのだと思います。インバルはおそらくいろいろやりたいことがあるんだけれど、他のオケではなんだか中途半端に聴こえることも多い気がしますね。例えばマーラーだと部分的には面白いけれども全体として何かがうまくいってないとか……。でもインバル&都響だと、挑んで熟されてきているのがわかる。来季から新たなマーラー・ツィクルスに取り組むのも長年の信頼の証でしょう。Kブルックナーに関しても完成形ではなくて初稿を採り上げてやるとか、そういう目の付けどころも音楽的なアイディアも素晴らしいんです。でも、その全部をあるオーケストラ一つで表現できているかというと、必ずしもそうじゃないという感じがします。昔の録音を聴いていても。その点、今の都響とのコンビはそういう部分のストレスが無い感じがして。Aインバルのやりたいことが自然に表現されるというか。Kだからオーケストラファンの中ではすごく評価が高いんだと思います。だからこそ、今回のストラヴィンスキーは楽しみです。I《ペトルーシュカ》と《火の鳥》、どんなスタイルになるんでしょうね。スペシャル座談会 │ クラシックソムリエが語る東京春祭おすすめコンサート!ハルトムート・ヘル ©堀田正矩白井光子 ©堀田正矩エリアフ・インバル ©堀田力丸東京都交響楽団 ©堀田力丸26
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