青澤隆明 あおさわ たかあきら音楽評論家1970年生まれ。音楽・文学・映像をめぐって文筆活動を展開している。『音楽の友』『レコード芸術』『ミセス』などに寄稿。東京春祭では、原田禎夫や白井光子&ハルトムート・ヘルなどベテラン音楽家の活躍にも注目。飯尾洋一 いいお よういち音楽ライター&編集者1965年生まれ。『音楽の友』『レコード芸術』編集部を経てフリーに。雑誌、オンラインメディアなどで幅広く執筆活動を続ける。東京春祭では、アダム・フィッシャーの《タンホイザー》をとても楽しみにしている。片桐卓也 かたぎり たくや音楽ジャーナリスト1956年生まれ。『音楽の友』『レコード芸術』『CDジャーナル』などにレギュラーで寄稿。東京春祭では、インバル&都響のマッチングに期待する。上野公園へは、根津・千駄木・鶯谷あたりから歩くのもおすすめ。飯尾(司会、以下I)東京春祭は今回、ワーグナー・シリーズのvol.3《タンホイザー》(1)が大きな目玉になっています。2010年にvol.1《パルジファル》を上演、2011年は震災の影響で中止になってしまいましたが、vol.2《ローエングリン》を予定していましたよね。来年は《ニュルンベルクのマイスタージンガー》、そしてその先にはいよいよ《ニーベルングの指環》4部作が始まるということで、ワーグナーというこの音楽祭の一つの柱が明確になってきたと思うんですよね。先々まですごく楽しみにしてるんですが、今回の《タンホイザー》について、皆さんはどんなところに期待されていますか?オペラ初心者にもおすすめ!ワーグナーの《タンホイザー》片桐(以下K)《タンホイザー》ってロマンチックなものを感じさせますよね。I娼婦と聖女のようなヴェーヌスとエリーザベト。男性から見た時の女性の両極の姿っていうものを、一つの物語にしているという意味で一番わかりやすいですよね。青澤(以下A)登場人物が個性的でキャラクタープレイがはっきりしている。ワーグナーの作品ってどんどんバーチャル度が高くなっていきますが、この《タンホイザー》には人間の生々しさが色濃く出ている感じがします。K主人公タンホイザーの人物像は、あらゆるワーグナー作品の主人公の中で一番共感できますよね。Iそれはやっぱり、《タンホイザー》が若い男の物語だからだと思うんですよね。ヴェーヌスかエリーザベトかって、二人の女性の間で迷っている若者。A主観的に入りこみやすいですよね、自分に置き換えやすいというか。物語の構造がはっきりしていて、とてもロマンチックなんです。K僕は個人的にヴェーヌスが大好き。Iそうなんですか。ではもし片桐さんがタンホイザーだったら、幕が開けてからずっとヴェーバラエティー豊かなたくさんの公演を聴くことができる東京・春・音楽祭。どれも面白そうですが、初めて足を運ぶ人はまず何を聴こうか迷ってしまいそう。そこでクラシックソムリエたちに、今年の東京春祭の見どころについて語ってもらいました。クラシックソムリエが語るおすすめコンサート!東京春祭座談会出席者プロフィールサート!スペシャル座談会24
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