横浜音祭り2013 公式プログラム
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14指揮者・本名徹次が育てた注目すべきアジアの新風 近年特に音楽的レベルを向上させているアジア諸国のオーケストラにあって、ベトナム国立交響楽団の存在は、特に日本で注目されるべきだろう。2009年から音楽監督・首席指揮者のポストにある本名徹次がオーケストラの土台から再構築し、実力をめきめきと向上させているからである。その成果はすでに過去の日本公演でも証明されており、本拠地ハノイにおいては演奏難易度の高いマーラーの交響曲を次々と取り上げるほど、国の音楽文化を背負う存在となってきた。今回の来日ツアーは、日本とベトナムが外交関係を結んでから40周年を記念したもの。全7公演のトップを飾るのが、横浜みなとみらいホールでのコンサートなのだ。ベトナムの今を知る音楽が横浜で世界初演される プログラムのメインは、このオケを知るのに申し分ないベートーヴェンの「運命」。勝利のフィナーレへ向かう音楽のパワーは、まさに上り調子の本名&ベトナム国立響を象徴している曲である。しかし注目すべきは、ベトナムの代表的な作曲家であるグエン・ティエン・ダオの新作、ピアノ協奏曲「コンチェルトヴィーヴォ」が、児玉桃をソリストに迎え、このコンサートで世界初演されることだろう。 パリでメシアンらに師事した彼の作品は、独特のサウンドやポエジーが印象的だ。「同じアジア人で、背格好も似ているためか、パリではよく武満徹さんと間違えられたらしい」(本名談)というダオだが、武満本人も彼の作品には注目していた。コンサートでは、その武満による繊細な「弦楽のためのレクイエム」に続き、ダオの作品が演奏される。さしずめ“盟友の再会”といったところだろうか。 ベトナム発、横浜に上陸するクラシック界の「新しい風」が、横浜音祭りに彩りを添える。ベトナム国立響の力を最大限に引き出す本名徹次 ©Ryusei Kojima 9/21(土)15:00横浜みなとみらいホール 大ホール ⇒公演情報の詳細はp42をご参照ください。Informatinoイチオシ!公演案内飛躍中のベトナム国立響初の横浜公演本名徹次指揮 ベトナム国立交響楽団文:オヤマダアツシ意欲的なプログラムが楽しみ! ©Ryusei Kojima

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