eぶらあぼ 2025.10月号
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左より:韓国国立交響楽団/サミュエル・スンウォン・リー ©Taeuk Kang/前田妃奈 ©Taira Tairadate佐藤俊介 ©Marco Borggreve10/2(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(受付終了)10/6(月)19:00 NHK大阪ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 https://www.pacific-concert.co.jp62文:江藤光紀文:鈴木淳史川崎定期演奏会 第103回10/18(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp他公演10/19(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール(025-224-5521) 今年は日韓国交正常化60周年。これを記念して韓国国立交響楽団が10月に来日、東京と大阪でコンサートを開く。 同楽団は1985年に創設され、ソウル・アーツ・センターの専属楽団としてオペラやバレエも担う総合的なオーケストラへと発展した。2022年に韓国ではただ一つの国立オーケストラへと改称され、文化的発信力を強めている。 今回の来日では2024年にマルコ国際指揮者コンクールで優勝した韓国の新鋭、サミュエル・スンウォン・リーのタクトで、ブラームスとチャイコフスキーというロマン派の二大巨匠の重厚な名曲を並べた。リーは欧州を中心に数々の名門オーケストラと共演を重ね、明快な解釈としなやかな統率力で評価を高めている。韓国が誇るオケと新進気鋭の指揮者の競演が無料(要申込)で聴けるというから太っ腹だ。 前半、ブラームスのヴァイオリン協 バロック・ヴァイオリンの名手にして、指揮者としても目覚ましい活躍をみせる佐藤俊介。これからの日本の古楽だけでなく、クラシック界全体のキーマンになることは間違いない逸材だ。その佐藤が東京交響楽団の選りすぐりのメンバーと、バッハのブランデンブルク協奏曲を中心にしたプログラムを演奏する。 ザクセン選帝侯領の首席森林官と猟場番を務めたフレミング。彼の著作に記されているファンファーレで演奏会は開始される。狩りのホルンを首席奏者の上間善之らが野趣もたっぷりに奏でてくれよう。 ブランデンブルク協奏曲は第2番と6番を除いた4曲を演奏する。 佐藤のリードで、モダン楽器による東響メンバーが一体となって直線と曲線がしなやかに入り交じった演奏を期待していいだろう。第1番ではファゴット首席の福井蔵、第4番はリコーダー・パートを奏曲でソリストを務めるのは、日本の若手・前田妃奈。彼女は2022年のヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、一躍国際的な注目を浴びた。 高い集中力と艶やかな音色で、ブラームスの重厚かつ広大な世界を余すところなく表現してくれるだろう。後半のチャイコフスキーの交響曲務めるフルート首席の竹山愛、濱﨑麻里子らのソロ・パートにも注目したい。第5番では国内外のアンサンブルで活躍するチェンバロ奏者、重岡麻衣のカデンツァも楽しみだ。 フックスによる7声のロンドでは、佐藤のソロ・ヴァイオリンがその優雅な調べをアンサンブルに波及していく様子が目に浮かぶ。そして、テレマンの協奏曲では、首席オーボエ奏者の荒木良太らと佐藤のヴァイオリンが綿密に絡み合って、生き生きしたグルーヴを作り出してくれるはず。関東ではミューザ川崎のみの公演だ。第5番は、暗い序奏に始まり、苦悩と葛藤を経て最終楽章の輝かしい勝利の行進に至る道のりを、「運命」の主題を縦糸にしてドラマティックに描く。 音楽は言語や国境を超えて人々を結びつける。韓国を代表するオケと日韓の若手の共演は、両国の協力関係とさらなる繁栄の象徴となってくれるはずだ。韓国国立交響楽団 ブラームス・チャイコフスキー 韓日国交正常化60周年記念音楽会国境を超え、若き才能ふたりが名曲で起こす化学反応佐藤俊介(指揮/ヴァイオリン) 東京交響楽団東響の名手たちがバロックで燃える!

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