©Fabrizio Sansoniシャルル・デュトワ ©Chris Lee第2048回 定期公演 Aプログラム11/8(土)18:00、11/9(日)14:00 NHKホール第2049回 定期公演 Cプログラム11/14(金)19:00、11/15(土)14:00 NHKホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp10/15(水)19:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp43文:鈴木淳史文:香原斗志 デュトワがNHK交響楽団に帰ってくる。 名誉音楽監督の久々となる定期演奏会への登場だ。 今回の2つのプログラムは、いずれも音の魔術師の手腕が生かされる、魅力的な選曲となった。Aプロは、メシアンの「神の現存の3つの小典礼」とホルストの組曲「惑星」。 いずれも女性合唱が重要な役割をもった作品を組み合わせる。 メシアン作品では、小菅優のピアノと大矢素子のオンド・マルトノも加わり、官能的なまでの色彩がホールを満たす。ホルストの組曲でも、それぞれの惑星のキャラクターを鮮明に描き分けてくれよう。そして、それはデュトワの指揮の確かさ、オーケストラを覚醒させる能力を示す演奏にもなろう。 Cプロは、オール・ラヴェルだ。「亡き王女のためのパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)という、作曲家の生誕 いま声の力が一番みなぎるイタリアン・テノールの一人がルチアーノ・ガンチだと思う。イタリアの海と空のような艶がある輝かしい声が旋律に充満し、レガートが流麗に紡がれ、熱情にせよ、悲哀にせよ、感情が色濃くにじむ。手練れのイタリア人歌手にしか出せない輝きと色合い。それも、たしかなテクニックに支えられた味わい。世界の主要劇場で引っ張りだこなのにはわけがある。 イタリア・オペラの「黄金時代」と呼ばれた1950~70年代ごろに名声を博した歌手にあった声の色味。ガンチの歌にはそれがあり、しかも現代的な洗練が加わり、表情も豊か。だから聴きがいがある。ヴェルディの歌唱が格調高いのはもちろん、プッチーニも、ヴェリズモも、情熱と品位が不即不離だからドラマが磨かれ、聴いていて心地よい。 そんなガンチの魅力が隅の隅まで詰まったリサイタルが開催される。ヴェ150年を祝う王道なるセレクション。 多くの 人 が 待 ち 望 んでいたように、滑らかなフレージングで繊細に織り上げられたラヴェル演奏が繰り広げられる。そして、ラストの「ダフニスとクロエ 」で は、そ れらの 期 待 が 大きな熱狂となって渦巻くはずだ。 音 楽 監 督 時 代には、ドイツ寄りだったN響にフランス音楽のエッセンスを植え付けたデュトワ。世代交代が進む楽団から、あのときのルディ《海賊》やプッチーニ《トスカ》などから、オペラ・アリアが歌われるのはもちろん、トスティやレオンカヴァッロの歌曲も、カンツォーネ・ナポレターナも、たっぷり聴ける。たとえば、トスティの〈そうなってほしい〉やデ・クルティスの〈帰れソレントへ〉などは、曲がある種の声の色合いを強く欲して い る。それは前述したガンチの声の味わいと見事に重なると思う。だから、決定版といえる歌が聴けるのではないだろうような細やかなニュアンスだけでなく、さらに新しいサウンドを引き出してくれることを期待したい。か。イタリアの歌と声を知り尽くした浅野菜生子のピアノを得て、歌の力が彩り豊かにあふれるはずだ。シャルル・デュトワ(指揮) NHK交響楽団8年ぶりの定期帰還! 精緻を極めたタクトの魔力プラチナ・シリーズ第2回 ルチアーノ・ガンチ(テノール)「黄金時代」の声と現代的洗練を兼ね備えた“ザ・テノール”
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