126ラヴェル:ピアノ協奏曲集、高雅で感傷的なワルツ、パヴァーヌ/ネルソン・ゲルナー&山田和樹&モンテカルロ・フィルヘネラリーフェのほとり/マリア・エステル・グスマンゲームズ〜テレマンのカノン・ソナタをめぐるリコーダーの「遊び」/田中せい子&ダニエレ・ブラジェッティ 他テレマン:「6つのカノン・ソナタ」より/ルッフォ:「3声のカプリッチョ」より/ヒンデミット:プレーン音楽祭「夕べの音楽」より/ J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲の主題に基づく14のカノンより/桑原ゆう:「四つの遊び」より 他田中せい子 ダニエレ・ブラジェッティ 高橋明日香 宇治川朝政 浅井愛(以上リコーダー)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9070 ¥3080(税込)ツェルニー:ピアノ・ソナタ集 Vol.1〜ベートーヴェンとリストの間で/佐伯香織知性と詩情を兼ね備えたアルゼンチン出身のピアニスト、ネルソン・ゲルナーの新譜は、ラヴェルの2つのピアノ協奏曲と独奏曲を収める。協奏曲は山田和樹指揮、モンテカルロ・フィルとの共演である。ト長調の協奏曲は、ゲルナーの情熱的かつ品格のあるピアノと、それに呼応した山田のタクトが導くオーケストラとの緻密なアンサンブル。左手のための協奏曲は、ピアノもオケも厚みがありつつ伸びやかな響きで精細に織りなす。「高雅で感傷的なワルツ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」の語りのような自然なリズム表現は、ラヴェルの紡いだ音の彩を立体的に伝える。(飯田有抄)今秋も東京や横浜公演の他「スペインギター音楽コンクール」特別審査員としても来日予定の“ギター界の女王”の新譜。噴水を思わせるトレモロが美しいロドリーゴによるアルバム・タイトル曲など、前半は20世紀スペインが生んだクラシカルな名曲を並べて、後半には映画音楽やコンテンポラリーな傑作を配して楽しませる流れが上手い。特にマルチ奏者のR.タウナーが自身のグループ「オレゴン」のために書いた「歓喜の旅立ち」の爽やかなソロ・ギターVer.に心を奪われた。彼女が自分で編曲したモリコーネ『ニュー・シネマ・パラダイス』の“締め”も深い余韻を残す。 (東端哲也)面白いタイトルだが、テレマンのカノン・ソナタを中心に、16世紀のルッフォ、ウッドソンからJ.S.バッハ、ドルネルを経てヒンデミットと桑原ゆうに至る、カノンなど対位法を用いたゲーム/遊び的楽曲を集めた内容。遊びと言っても高度な知的遊戯―ただし解放としての―がイメージされ、解説ではジャンケレヴィッチやエーコ、カイヨワらの「遊び」論が言及される。とはいえ構えは無用、冒頭のテレマンから田中せい子とブラジェッティの生き生きと精度の高いやりとりが飛び出してくる。活動30年以上に及ぶデュオが仲間を加え、達人たちの遊戯を繰り広げる愉悦の時間。最後の桑原ゆう作品にびっくり!(矢澤孝樹)ツェルニーは「30番」などの練習曲で有名だが、ベートーヴェンの弟子で、リストの師匠であった。作曲家としてはピアノ・ソナタを11曲書いたものの、ほとんど知られていない。佐伯香織はウィーンやザルツブルクでソナタ全曲演奏会を開くなど、ツェルニー演奏の第一人者で、これはソナタ集第1弾。ソナタ第9番「大幻想曲」は、6楽章の大作。堂々たる冒頭ソナタ楽章に続いて、ゴツゴツしたスケルツォ、歌の緩徐楽章、疾走する第2スケルツォ、大規模なロンドとなり、フィナーレはフーガで終わる。ソナタ第3番は、4楽章構成で、ベートーヴェン風の激しさがあり、アイディア豊富な造りで楽しませてくれる。(横原千史)ネルソン・ゲルナー(ピアノ)山田和樹(指揮)モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団Alpha Classics/ナクソス・ジャパンNYCX-10548 ¥3300(税込)マリア・エステル・グスマン(ギター)佐伯香織(ピアノ)Da Vinci Classics/東京エムプラスJC 01055 ¥3500(税込)ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、高雅で感傷的なワルツ、左手のためのピアノ協奏曲、亡き王女のためのパヴァーヌデ・ラ・マーサ:サパテアード、ペテネーラ/ロドリーゴ:ヘネラリーフェのほとり/カステルヌオーヴォ=テデスコ:プラテーロと私/タウナー:歓喜の旅立ち/モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス 他マイスター・ミュージックMM-4545 ¥3520(税込)ツェルニー:ピアノ・ソナタ第9番「ソナタの形式による大幻想曲」、同第3番、「古典様式のピアニスト」より前奏曲とフーガ ニ長調CDCDCDCD
元のページ ../index.html#129