久石 譲 ©Nick Rutterロバート・マクダフィー中島結里愛米田覚士沢田蒼梧林 周雅渋谷区文化総合センター大和田 開館15周年記念さくらホールコンサート 一夜限りの若者たちの祭典2025ショパンコンクール出場のふたりが競演第666回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 10/11(土)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉 10/13(月・祝)14:00 サントリーホール問 新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp11/21(金)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール 9/8(月)発売問 渋谷区文化総合センター大和田 ホール事務室03-3464-3252 https://www.shibu-cul.jp75文:飯尾洋一久石 譲(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団人気作曲家グラスによるモダンな快作を初演ヴァイオリニストとともに 文:柴田克彦 10月の新日本フィル定期は、久石譲が本領を発揮するプログラム。人気作曲家・久石は、英国ロイヤル・フィルにポストを持ち、日本センチュリー響の音楽監督に就任するなど、近年軸足をクラシック畑に置いている。7月にはロイヤル・フィルの日本公演でも快演を展開。関係の深い新日本フィルで様々な楽曲を披露しているのも周知の通りだ。 そして今回ついに、久石の作曲のベースであるミニマル・ミュージックの大御所で親交もあるフィリップ・グラスの作品が演奏される。演目のヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカン・フォー・シーズンズ」は、ヴィヴァルディの「四季」をモダンに変換させたような快作。しかもソロを弾くのが、この曲の委嘱者で2009年に初演した硬軟自在の名手ロバート・マクダフィーである点が期待を倍化させる。 彼は同曲を世界中で100回以上演奏しているとの由。本作には4楽 章 の 合 間に無 伴 奏ソロ曲 11月21日、渋谷区文化総合センター大和田は開館15周年を迎える。これを記念して同館のさくらホールで開かれるのが「一夜限りの若者たちの祭典2025」。ショパンコンクール開催年にちなんで、沢田蒼梧と中島結里愛(ゆりあ)のふたりのピアニストが、ショパンのピアノ協奏曲第1番および第2番を披露する。 沢田は2021年のショパンコンクールで名古屋大学医学部在学中のピアニストとして脚光を浴びた。 その後、大学を卒業し、ピアニストと医師の二刀流で活躍を続けている。26歳の若さにして、いったいどれほど濃密な人生を歩んでいるのかと感嘆せずにはいられない。もうひとりの中島は、今年のショパンコンクールの出場者だ。すでに予備予選を通過して、10月の本選に臨む。なんと、まだ15歳。最年少の出場者となる。 共演は米田覚士指揮の大和田祝祭が配置されているので、独奏への注目度はすこぶる高い。 加えてこの曲、どの楽章がどの季節なのか?の解釈がリスナーに委ねられている。 ゆえにレアな本作が理想的な顔ぶれによって演奏されるとなれば、ぜひとも体験しておきたい。 もう1つはストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲(1945年版)。久石は、複数の楽団で「春の祭典」の鮮烈な演奏を聴かせるなど、この20世紀の大家にも造詣が深いし、お馴染みの1919年版管弦楽団。 米田は東京藝大の指揮科を卒業、21年の東京国際音楽コンクール〈指揮〉で入選および奨励賞を受賞し、以後、国内主要オーケストラと共演を重ねる俊英だ。 大和田祝祭管弦楽団は若手演奏家たちを中心に本公演のために結成されるオーケストラ。コンサートマスターを林周雅が務める。より精妙な音楽が多い1945年版ならば、作曲家の視点で清新な音楽を創造する彼の持ち味がより効果を上げるに違いない。 かように今回は鮮度の高い音楽を満喫できる公演だ。林は佐渡裕のスーパーキッズ・オーケストラでコンサートマスターを務め、『題名のない音楽会』の「題名プロ塾」で話題を呼んだヴァイオリニスト。 ほのカルテットの一員としても活動するなど、多方面での活躍ぶりが光る。 若き才能が一丸となって、精彩に富んだ音楽を奏でてくれることだろう。
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