ヨーン・ストルゴーズ ©Marco Borggreveヴェロニカ・エーベルレ ©Louie Thain高橋勇太原 純 ©FUKAYA/auraY2伊藤康英ヨーン・ストルゴーズ(指揮) 東京都交響楽団フィンランドの名匠が好対照をなす2つのプログラムを披露!東大和市民会館ハミングホール開館25周年記念公演オペラ《ミスター・シンデレラ》(全2幕・日本語上演)奇想天外なストーリーで問いかける“本当の幸せ”70第1027回 定期演奏会Bシリーズ 10/1(水)19:00 サントリーホール第1028回 定期演奏会Cシリーズ10/5(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp※公演によりプログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。文:飯尾洋一文:室田尚子 フィンランド出 身 のヨーン・ストルゴーズが東京都交響楽団の定期演奏会に登 場 する。2023年1月にマデトヤの交響曲第2番ほかで好評を博したストルゴーズだが、今回は10月のBシリーズとCシリーズで2つのプログラムを指揮する。 Bシリーズのメイン・プログラムは没後50年を迎えたショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」。ロシア皇帝の軍隊が民衆のデモに対して発砲した「血の日曜日事件」が題材となった問題作である。 ロシア第一革命の発端となった事件を描いていることから、西側諸国からはプロパガンダの音楽とみなされることも多かった作品だが、近年は歴史的な文脈を超えて20世紀の交響曲としての再評価が進んでいる。その壮絶さをストルゴーズと都響はいかに描くのか。さらにこの日は現代フィンランドの作曲家、オウティ・タルキアイネンの「極北の真珠-室内管弦 《ミスター・シンデレラ》は鹿児島オペラ協会創立30周年を記念して、2001年に初演された作品。その後も再演を重ねるこの人気の現代日本オペラを、東大和市民会館ハミングホールが、開館25周年記念公演として上演する。 間違って飲んだ薬のために、潮の満ち引きによって体が女性化してしまう主人公・伊集院正男とその妻・薫を中心に、正男の両親や彼が勤める大学の学生たちなど、さまざまな人たちが織りなす物語は、「本当の幸せとは何か」を楽しく、かつ鋭く描き出していく。 今回は演出・美術・衣裳に、数々のオペラやストレートプレイ、そしてこの夏には歌舞伎の演出を手がけたことで話題の原純を迎え、完全な新制作の舞台を生み出す。指揮は、東京サロンシンフォニーオーケストラ常任指揮者で、2015年黒海指揮者コンクール準優勝の高橋勇太。また作曲者の伊藤康英が監修という形で制作に参加する。公演は2日間楽のための協奏曲-」が日本初演される。気候変動を憂う作曲者が北 極 圏 の 生 態 系を題材にした作品だ。都響の 名 手たちの 技 量が発揮されそうだ。 Cシリーズでは名手ヴェロニカ・エーベルレの独奏によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と、シベリウスの交響曲第3番が組み合わされる。こちらはぐっとクラシカルなプログラムだ。コンパクトな編成によるシベリウスの交響曲第3番は明瞭にして爽快。喜びにあふれた賛歌を堪能したい。な(9/14, 9/15)、ダブルキャストで行われる。日本オペラ協会を代表するプリマ・ドンナの沢崎恵美(薫役、9/15)、二期会所属で幅広いジャンルを歌うクロスオーバー歌手としても活躍する猪村浩之(正男役、9/14)のほか、藤原歌劇団や東京二期会など日本を代表するオペラ団体9/14(日)、9/15(月・祝)各日15:00 東大和市民会館ハミングホール問 東大和市民会館ハミングホール042-590-4414 https://www.humming-hall.jpお、ベートーヴェンの協奏曲では、現代ドイツの作曲家イェルク・ヴィトマンによるカデンツァが日本で初披露される。ピリッとモダンなスパイスがきいたカデンツァが驚きをもたらす。に所属するメンバーを中心に、ベテランから若手までバラエティに富んだ歌手陣が集結。また合唱は、一般公募による「ハミング25周年記念合唱団」が担当し、市民が総力を挙げてホールの周年を祝うムードを盛り上げる。新たなプロダクションの誕生を心待ちにしたい。
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