eぶらあぼ 2025.9月号
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第4回 無伴奏の世界 川本嘉子(ヴィオラ)バッハと現代が交差する音の軌跡9/18(木)19:00 浜離宮朝日ホール問 ミリオンコンサート協会03-3501-5638http://www.millionconcert.co.jp上野耕平 ©Yuji Ueno©島崎陽子三浦一馬 ©日本コロムビアInterview上野耕平(サクソフォン)& 三浦一馬(バンドネオン)相性抜群のふたりが創造するスリリングなサウンド上野耕平・三浦一馬デュオコンサート featuring 高橋優介12/6(土)14:00 さいたま市文化センター(小)問 さいたま市文化センター048-866-3171 https://saitama-culture.jp63文:江藤光紀取材・文:宮本 明 多彩な楽器のトップ奏者たちをフィーチャーした「無伴奏の世界」の第4回は、今やベテランとして日本のヴィオラ界をけん引する川本嘉子。このシリーズはバッハが必ずプログラミングされてきたが、川本は無伴奏チェロ組曲のヴィオラ版第1、2、6番に邦人作曲家の作品を挟み込んだ。 まずは細川俊夫が編曲した「私を泣かせてください」(ヘンデル)。誰もが知るあの端正な旋律がフラジオレット奏法によって異界へと解き放たれる。西村朗「『鳥の歌』による幻想曲」では、 この数年来、頻繁に共演を重ねているサクソフォン上野耕平とバンドネオン三浦一馬のデュオ。初めて顔を合わせたのは2017年だった。上野「僕がまだ高校生だった頃から、2歳しか違わない一馬さんがプロでバリバリやっているのを見て憧れていたので、やっと会えた!という気持ちでした」三浦「それはうれしい! 僕にとっても憧れの若手でした。自分の場合は、バンドネオンというマイナーな楽器を、どうすれば世の中に認めてもらえるか手探りでスタートしたのに、耕平君はキラキラしたかっこいい楽器を構えて、メジャーレーベルからCDデビュー。 王道というかね」上野「でもサクソフォンもクラシック界ではいまだにマイナーなイメージがつきまとっているんです」三浦「それを物ともせず、むしろ逆手に取っているようで、かっこいいなというのが第一印象でした」 けっして定番の組み合わせとは言いがたい2つの楽器だが、相性は抜群だ。上野「絶対に相性がいいと思ってました。まったく違う音色だけど共存できる。奥底でつながっているのが、“影”の部分です。 陽が当たる明るい表情もいいけど、“影”がマッチングした時に、独特の感覚が生まれます」三浦「たしかに! たとえばこちらのホー切なさを湛えたメロディがアジア的ともいうべき苦悶の表情を帯びる。 権代敦彦の「テロス」はユーリ・バシュメット国際ヴィオラコンクールの課題曲として書かれた。 川本が同時代の創作として親しんできた作曲家たちの小品―それもバロックの編曲から始まる―をいわばスパイスのように配置しながら、弦の奏者にとっての聖典とも言うべきバッハの無伴奏組曲に正面から取り組む。時空を自在に飛び越える名手ならではの旅路が楽しめるだろう。ムグラウンドのはずのピアソラでも、自分で弾いているだけでは気づけなかったことを教えてもらっている気がするんです。 衝撃的でした。 新しいサウンドになるはずだという確信はありましたが、実際、それぞれのコントロールで、いくらでも音を溶け合わせられる。 でも実はそれ以上に、人間同士として相性がいい。楽器という次元を超えた話ができる。 ずっとラリーしていられるような感覚です」上野「一馬さんは場を颯爽とオーガナイズできる人です。 みんなが気持ちよく音楽できる環境を作れる。先輩ですけど、ステージ上では対等に、一緒に遊んでくれます」 12月にはさいたま市文化センターでの公演が控える。ピアノは高橋優介。上野「ボレロをピアノと3人でどうやるの?みたいな(笑)。サクソフォンを3本持ち替えたり、ありとあらゆることをします。間違いなく熱いコンサートです」三浦「1840年代に発明された新しい楽器同士。楽器の未来を見据えるような意味合いも組み込みたい。 発表されているバッハ、ピアソラ、ボレロという曲目だけを見ても、すごく象徴的ですよね」上野「さいたま市は鉄道博物館もある鉄道の町。『鉄道唱歌』をやってもいいですか?」三浦「ぜひぜひ!(笑)」

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