各楽器の精鋭が勢揃いしたスーパーオクテット60ラ・ルーチェ弦楽八重奏団取材・文:林 昌英ラ・ルーチェ弦楽八重奏団 Vol.10 10/19(日)14:00 東京文化会館(小)問 AMATI 03-3560-3010 https://www.amati-tokyo.com他公演 10/18(土) 大阪/ワキタ コルディアホール(ラプトサウンド0797-84-5952)す。でもラ・ルーチェはだれがファーストでも、不動のスタイルがすでにあると感じられます」毛利「根底にあるものが一緒で、最初にみっちりレッスンを受けて作り込んできたことも大きそうです。各自が他の7パートを熟知するからこそ、演奏では自由になれます」田原「大学生のときに身に染みついた土台に、毎回パートを変えてパターンを増やして、8人が歳と経験を重ねることでの自然な変化もありそうです」大江「『タレの継ぎ足し』じゃないけど、毎年一緒にやっているから、急に完全に新しいタレにはなりません。自分たちで何かを変えてはいませんが、継ぎ足しのように深まっていければ」 もう一つのオクテットの代表作はエネスコ(エネスク)の大作。20世紀ルーマニアの巨人、エネスコは今世紀に入って再評価が著しく、ことに超難曲かつ独特の妖気ただよう本作は、この10年ほどで同編成の一番人気作に躍り出ている。ラ・ルーチェにぴったりで、2023年の演奏は筆者にとっていまだベスト演奏の壮絶さだった。大江「僕たちのエネスコでいい曲と思ってくれた人が多くいるのはうれしいです。最初からすぐ引き込まれて、最後 ラ・ルーチェ弦楽八重奏団は、世界的にも稀少な弦楽のみの常設オクテット団体だ。2013年結成、翌14年に第1回を開催し、今年の公演で第10回の節目を迎える。 ヴァイオリンが大江馨、城戸かれん、小林壱成、毛利文香、ヴィオラが有田朋央、田原綾子、チェロが伊東裕、笹沼樹。それぞれにファンもいるほどの若手トップ奏者ばかり。 多忙を極める彼らがほぼ毎年、準備を重ねて臨んできたのがラ・ルーチェである。 今秋の第10回について、大江、城戸、毛利、田原の4名が語った。 結成は当時大学1年生だった城戸、毛利、田原の3人の発案。「宮崎国際音楽祭の徳永二男先生の音楽アカデミーで、講師の皆様とメンデルスゾーンを弾かせていただき、それが本当に楽しくて、自分たちもオクテットやりたいねと3人で話し合った」とのこと。そこから近い年代の東京藝術大学と桐朋学園大学の学生が4人ずつ集まったのが現メンバー。 第10回は、名曲と秘曲をセットにする彼らの活動方針で、最初にユージン・グーセンスの新古典主義的な「コンチェルティーノ」を取り上げる。そして節目にふさわしい2大傑作を堂々と掲げる。まず、オクテットを代表する名作で「何度弾いても楽しい」というメンデルスゾーン。城戸「メンデルスゾーンをどう弾くか、さまざまな場で全然違うことがありまの方のトランス状態まで、エネルギーが限界を超えていくようなところが魅力です」田原「エネスコは本当に何でもできた人で、オクテットは多くのテーマを整理しすぎず、才能と若さに任せたような勢いがある。8パート全体を把握できていないと、作品の内容が伝えにくい曲でもあります」毛利「エネスコのヴァイオリン・ソナタ3曲を全部弾く機会がありました。うち2曲は10代の作曲で、エネルギーが本当にすごくて止められない感じがしました。オクテットも19歳で、あふれ出るものをきちんと表現したいです」城戸「ラ・ルーチェのエネスコの『タレ』はすごい状態ですからね(笑)。パートも毎回交代して、全員の耳が常に開いている状態です。技術的に本当に難しいですが、特別なことはせずとも楽譜通りに弾けば、自ずと曲の凄まじさが出ると実感しています」 今年のラ・ルーチェ渾身のプログラム、元々のファンは万難を排して参じるだろうし、団体も作品もあまりなじみがない人こそぜひ実演を体験してほしい。世界水準のパフォーマンスが体験できて、好きな作品が増えて、推しが8人できるのは確実だ。Interview
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