小曽根 真 ©Yosuke Suzuki©Helge Hansen Sony Music Entertainmentチョン・ミョンフン ©Takafumi Uenoチョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団20世紀の名曲たちが東京と欧州で響くレイフ・オヴェ・アンスネス ピアノ・リサイタル内なる精神と外界の色彩が高次で融合する物語第1024回 オーチャード定期演奏会10/5(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール第1025回 サントリー定期シリーズ 10/16(木)19:00 サントリーホール第174回 東京オペラシティ定期シリーズ10/20(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp10/30(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演11/1(土) 神奈川/フィリアホール(045-982-9999)11/3(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)ン・ブルー」では、なんといっても小曽根真のピアノが聴きもの。 これまでにくりかえし演奏してきた曲目だが、どんな即興演奏が飛び出すかわからない期待感があり、毎回が新鮮だ。 音楽は一期一会のものであることを実 感できるだろう。 なお、この公演後、東京フィルはチョン・ミョンフンとともにヨーロッパ・ツアーへと出発し、ベルリンを皮切りに8るような温かさ、清らかな精神が感じられる作品であり、続くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番へと見事な橋渡しが行われる。様々な苦悩や葛藤、そしてそれらを克服し、希望の光をつかんでいく様がリストとベートーヴェンの楽曲で示されていく。 第2部 はシュー マンの「 謝 肉祭」で“社会や日常へと引き戻す”という。 シューマンと同時代の音楽家たちの姿が描き出された活気あふれる作品で、輝かしい生命力や人生の謳歌を感じることができるだろう。 アンスネスが紡ぎ出す、物語性に溢れた世界観を存分に堪能しよう。51文:飯尾洋一文:長井進之介 東京フィルの10月定期はエキサイティングな公演になりそうだ。 指揮は名誉音楽監督のチョン・ミョンフン。プログラムがおもしろい。バーンスタインの『ウエスト・サイド物語』より「シンフォニック・ダンス」、小曽根真のピアノによるガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」より、という組み合せだ。 バーンスタインとプロコフィエフの両曲はともにシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を題材とした作品。かたやミュージカル、かたやバレエのための音楽という対照がある。チョン・ミョンフンと東京フィルがこれまで《ファルスタッフ》《オテロ》《マクベス》といったシェイクスピア原作のオペラを演奏会形式でとりあげてきたことを考えれば、シェイクスピア・シリーズの番外編とみなすこともできるだろう。 ガーシュウィンの「ラプソディー・イ 類まれな音楽性と解釈力の高さ、そしてそれを実現する強靭なテクニックをあわせもち、現代最高のピアニストの一人と言っても過言ではないレイフ・オヴェ・アンスネス。今年の4月には最新盤『リスト:十字架の道行き&コンソレーション』をリリースし、透明度の高い音、作品理解の深さによって生み出される、心を打つ演奏が話題となった。 今回のリサイタルはそのCD収録曲も含めたアンスネス渾身のプログラムを聴くことができる。 2つの側面をもつ内容となっており、第1部は“精神の慰めや超越を感じられる世界観”。超絶技巧作品のイメージが強いリストだが、後半生では僧籍に入り、宗教色の強い作品を数多く書いている。今回演奏される「詩的で宗教的な調べ」の〈パレストリーナによるミゼレーレ〉はそれを象徴する楽曲。「コンソレーション」は直接的に宗教を題材としたものではないが、包み込まれ都市を巡る。10月定期のプログラムはツアーでも披露される。ツアー直前の気持ちの高まりが演奏にも反映されるのでは。
元のページ ../index.html#54