新潟県長岡市にある中越高校。吹奏楽部はこれまで西関東大会に23回出場している、県内屈指の実力派バンドだ。だが、これまで全日本吹奏楽コンクールには一度も出場していない。 そもそも新潟県の高校は1970年代に県立三条商業高校が2回全国大会に出場したことがあるだけ。特に近年は、西関東支部(埼玉県・山梨県・群馬県・新潟県)の代表3枠は埼玉県の高校が独占している。 そこに風穴を開けようと、卒業生である名古屋愉加先生が率いる中越高校は熱い思いで練習を重ねている。名古屋先生はこう語る。「私は、とにかく生徒がいきいきと輝き、楽しそうにしているのがいちばんだと思っています」 ただ、部員たちが輝くことと、コンクールで高い評価を受けることは両立する。「コンクールに関しては、一時期、埼玉の高校にはかなわないと思ってしまっていたときもありました。でも、いまははっきりと考えています。良い演奏をすることも、良い賞を取ることも目標。全国大会に行きたいです」 名古屋先生がはっきりとその思いを抱いた今年、40ひと足先に「甲子園」という全国大会に出場を決めたのは、中越高校野球部だった。 今年の吹奏楽部部長は3年生でアルトサックス担当の浅野凛だ。凛は入部したときにこんな目標を抱いていた。「私は中学時代に中越高校の定期演奏会を見て、すごくキラキラしていた先輩たちの姿に憧れました。だから、まずは私もステージで輝けるひとりになりたいというのがありました。それと、中学時代にコンクールで初めて西関東大会に出場できたのですが、結果は銀賞。高校でその続きがしたい、銀賞の上の金賞をとり、全国大会に出たいと思っていました」♪♪♪Vol.37 中越高等学校吹奏楽部(新潟県)甲子園と「吹奏楽の甲子園」を目指す革命取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)
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