eぶらあぼ 2025.9月号
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Information小山実稚恵デビュー40周年記念公演/サントリーホール開館記念日公演小山実稚恵 サントリーホール・シリーズ Concerto <以心伝心> 202510/12(日)16:00 サントリーホール出演/小山実稚恵(ピアノ)、ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮)、   東京フィルハーモニー交響楽団&フェドセーエフ・フレンズ曲目/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23   ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18□ サントリーホールチケットセンター0570-55-0017suntoryhall.pia.jp392023年、小林研一郎と ©N.Ikegami|SUNTORY HALL2024年、広上淳一と ©K.Iida|SUNTORY HALLれは先生のためにあるようなプログラムですよね。  昨年は戦友というと古いかしら、同志でもある広上さんと、どうしても弾きたかったモーツァルトの第27番 K.595とブラームスの第1番。この2曲はリクエストしました。古典が素敵な広上さんとモーツァルトをご一緒し、ブラームスの第2楽章をしっかり創りたいと思ったのです。もちろん3人のマエストロとはたくさんのコンサートで共演してきました。大野さん、広上さんとは2015年のデビュー30周年記念公演(春・秋)でもショパンとラフマニノフを弾いています」 そして今年、サントリーホールの開館記念日でもある10月12日に奏でるのはチャイコフスキーの第1番とラフマニノフの第2番。声高に申すまでもなく、チャイコフスキー・コンクールから内外の舞台に羽ばたいた実稚恵さんの十八番にしてライフワーク。彼女にとって最も演奏回数の多いコンチェルトでもある。それをウラディーミル・フェドセーエフ指揮の東京フィル&フェドセーエフ・フレンズと奏でる。 「この2曲は、フェドセーエフさんとの出逢いのコンチェルトなのです。(1982年の)チャイコフスキー・コンクールの本選で、フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団と演奏したのですが、実は私にとって初めて国外で弾いたコンチェルトでもあるのです。  賞をいただきましたが、当時のチャイコフスキー・コンクールの審査員は、コンチェルトの経験のない、ロシア音楽のこともよく知らない未完成だった私を選んでくださったのですね。それは指揮をされたフェドセーエフさんも同じだったと思います」 いっぽう、マエストロはこう語っている。 「チャイコフスキー・コンクールにおける出会いは、本当に幸せなことでした。当時、彼女は音楽と愛に満ちて輝く少女でした。彼女がすぐに私にとって特別な存在になったのは、何の不思議でもありません」(<以心伝心>のフライヤーより引用) 実稚恵さんの言葉に戻そう。 「コンクール以来、フェドセーエフさんは私の活動をずっと見守ってくださっています。モスクワ放送交響楽団(チャイコフスキー記念大交響楽団)とはツアーもご一緒しました。しばらくお会いしていなくても、ふっと彼の音楽が浮かぶのです。長いお付き合いのなかで、まさに<以心伝心>ですね。同じ空を見つめているような気持ちを味わってきました。 秋もぜひフェドセーエフさんの魔法のような指揮でチャイコフスキーとラフマニノフを弾き、(フェドセーエフ)先生、音楽の仲間、来てくださるお客様に感謝の気持ちをお伝えしたいです」 デビュー4 0周年記念公演<以心伝心>最終章は、前述のようにサントリーホール開館記念日に開催される。実稚恵さんはインタビューの終盤、美しい言葉を重ねた。 「私はいま、心が好き。作曲家の心、音楽の心、コンチェルトの心、ピアノを弾く時の心、お客様の心…美しい音楽に長く浸っていたいという気持ちも、前よりも芽生えています。心伝わる40年、気がついたら40年。以心伝心という4文字、4回、40年。いただいた機会、ご縁に感謝し、大切なコンチェルトに向かいたいと思っています」 小山実稚恵の愛に満ちあふれた至芸を、彼女と相愛のサントリーホールで満喫したいものである。

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