シリーズ最終章、敬愛するマエストロと心通わせ紡ぐ“はじまり”の2曲©K.Iida|SUNTORY HALL取材・文:奥田佳道2022年、大野和士と ©N.Ikegami|SUNTORY HALL 鍵盤芸術への内なる尽きせぬ想い、悠久のロシアン・ロマンへの愛が、ついにあふれ出る。サントリーホールに舞う、美しくも烈しい楽の音、ステージと満場の客席の交歓を思い浮かべるだけで、自然と笑みがこぼれる――。待ち遠しい公演というフレーズは、この日のためにあったのか。 小山実稚恵 サントリーホール・シリーズ Concerto<以心伝心>2025が近づいてきた。2022年秋に始まったシリーズの最終章。毎回異なる指揮者、オーケストラが彼女のピアノに寄り添ってきた。大野和士と都響、小林研一郎と日本フィル、広上淳一とN響。 「大野さんは文字通りの学友(東京藝大の同級生)、そして楽友。最愛のコンチェルトのひとつであるラフマニノフの第3番、そしてメンデルスゾーンの第1番を大野さんと弾きたかった。38 コバケンこと小林先生とは仙台フィルが宮城フィルといっていた時代(1980年代半ば)からのお付き合い。ベートーヴェンの第3番 ハ短調と『皇帝』。こ小 山 実 稚 恵M ich ie Koya ma, P ia noConcerto <以心伝心> 2025
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