大友直人 ©Rowland Kirishima片岡リサ前田妃奈 ©Taira Tairadate豊澤富助桐竹勘十郎片岡リサ(箏) プロデュース 新・日本の響き 和のいずみ 第3回大阪が誇る文楽の名場面をクラシック専用ホールで堪能67文:柴辻純子文:磯島浩彰 群馬交響楽団と高崎芸術劇場が贈る「GTシンフォニック・コンサート」。群響が楽団本拠地の劇場でクラシック、ジャズ、オペラ、映画音楽、ミュージカルのナンバーなど多彩なジャンルに取り組む人気のシリーズ。群響「第二の定期演奏会」の呼び声も高く、全6回の通し券が完売するほど(1回券は販売中)。 第3回は、高崎芸術劇場芸術監督の大友直人の指揮による「オール・ブラームス」。ヴァイオリン協奏曲と交響曲第1番を組み合わせた聴き応え十分のプログラムだ。協奏曲のソリストは前田妃奈。2019年日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門第2位、20年東京音楽コンクール弦楽部門第1位。22年には第16回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝し、国際的にも注目を集めた。現在、東京音楽大学アーティストディプロマコースに在学中の期待の若手である。 ブラームス唯一のヴァイオリン協奏 関西を代表するクラシック音楽の殿堂・住友生命いずみホールが、“和楽器の響き”に触れてもらいたいと年に一度、箏奏者の片岡リサとタッグを組んで開催している「和のいずみ」の第3回が、今年も8月に行われる。過去2回、邦楽界のスーパースターの演奏を聴いてほしいという片岡の希望で、尺八の藤原道山、津軽三味線の上妻宏光をゲストに招いてきたが、今回は満を持して、大阪発祥の世界文化遺産「文楽」ワールドを体感できることとなった。 公演に先立ち行われた記者会見で片岡は、「文楽といえば太夫と三味線、人形の『三業』で成り立つ三位一体の技芸。どれも外せません。文楽三味線界の重鎮・豊澤富助氏に相談をし、人気の高い『壇浦兜軍記 阿古屋琴責の段』を中心にプログラミングをしました。通常『阿古屋』では三味線弾きが、三味線、箏、胡弓を弾き分けます。今回は私が箏を演奏しますが、三味線奏者と人形遣いが、曲は、高度な演奏技巧と室内楽的な親密さが求められる大作。確かな技術と豊かな表現力をもつ前田だが、マエストロの的確なサポートを得て、のびのびとスケールの大きな演奏を聴かせてくれるだろう。 後半は、交響曲第1番。ブラームス9/6(土)14:00 高崎芸術劇場問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 https://takasaki-foundation.or.jp目を合わすことなく決める阿吽の呼吸に上手く溶け込めるように努めます」と語った。出演者には豊澤富助の他、若手有望株の鶴澤寛太郎、鶴澤燕二郎、美声と端正な語りで人気の豊竹呂勢太夫、そして人形遣いには人間国宝の桐竹勘十郎…と豪華な顔ぶれが揃う。 シリーズの特色の一つ、高校生によるオープニングは、1993年に日本の高8/30(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール問 住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 https://www.izumihall.jpの名曲をマエストロはじっくりと格調高く作り上げる。ブラームスは群響にとっても大切なレパートリーである。2019年9月のオープンと同時に高崎芸術劇場に本拠地を移してから飛躍的に演奏力が向上した群響の現在(いま)を知ることができるだろう。校で初めて芸能文化科が設置された大阪府立東住吉高校芸能文化科3年生による長唄「越後獅子」の演奏。同じく恒例の大阪に所縁のある作曲家への新作委嘱は、山根明季子の“箏と義太夫三味線のための作品”を初演する。会見の最後に片岡は、「住友生命いずみホールでしか味わえない極上の和の響きをお楽しみください」と力を込めた。GTシンフォニック・コンサート vol.3 ロマン派の真髄 オール・ブラームス・プログラム風格と堂々たる躍動 〜二つの世代が刻むブラームスの肖像
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