北村朋幹 ©TAKA MAYUMI上野由恵 ©Akira Muto細川俊夫 ©Jumpei Tainaka伊藤 恵 ©武藤 章イレー・スー ©Marco Borggreve鈴木秀美 ©K.Miura山崎伸子 ©武藤 章第382回 定期演奏会 10/18(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp61鈴木秀美(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団響き合う円熟――チェロ界の重鎮二人が紡ぐ音の対話武生国際音楽祭2025才気溢れる名手たちが集結、新旧ウィーン楽派に光をあてる文:山田治生文:柴辻純子 鈴木秀美は、近年、主宰するオーケストラ・リベラ・クラシカだけでなく、神戸市室内管弦楽団の音楽監督を務めるなど、指揮者としての活動を積極的に行っている。10月には東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団に客演し、シューマン&ベートーヴェン・プログラムを振る。メインは鈴木が愛するベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。2023年10月の新日本フィルの定期で披露した、古楽的なアプローチを採り入れ(ナチュラル・ホルンを使用し、弦楽器はヴィブラートが抑えられていた)、細やかに描写された、起伏の大きな演奏が記憶に新しい。鈴木のピリオド的なアプローチが東京シティ・フィルとどのような化学反応を起こすかが注目である。 前半には、シューマンのチェロ協奏曲が取り上げられる。いうまでもなく、鈴木秀美はチェロの名手でもあり、バロック・チェロ奏者として世界的な名声 福井県越前市で夏の終わりに開催される武生国際音楽祭。1990年に開催された「フィンランド音楽祭」を引き継いでスタートし、現在は、作曲家・細川俊夫音楽監督のもとで、創造性豊かな国際音楽祭として国内外にその活動を発信する。 今年のテーマは「新旧ウィーン楽派の室内楽」。生誕140年、没後90年のベルクをはじめ、シェーンベルク、ウェーベルンの作品が多く取り上げられる。 まずは、コンサートプロデューサーのピアニスト、伊藤恵が出演する2つのコンサートから。「ピアノと弦楽の調べ」ではモーツァルトの室内楽とともに、ウェーベルンの弦楽四重奏曲 op.28をを博している。今回は自ら独奏を務めるのではなく、ソリスト・山崎伸子を支える。鈴木と山崎は同世代(1歳違い)で、ともに桐朋学園の高校と大学で学んでいる。山崎が1975年の日本音楽コンクールで優勝し、鈴木も79年に第1位を獲得している。その後の二人は、山根一仁率いるエール弦楽四重奏団の演奏で(9/2)。「室内楽の競演」では、世界が注目するクァルテット・インテグラがベルクの「抒情組曲」を取り上げる(9/6)。また、韓国出身のソプラノ、イレー・スーは、リサイタルでシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」を北村朋幹(ピアノ)、上野由恵(フルート)、上田希(クラリネット)、白井圭(ヴァイオリン)ら、気鋭の名手たちと共演する(9/3)。 大注目は20世紀の偉大な作曲家を特集する「ベリオ&ブーレーズ生誕百8/31(日)~9/7(日) 越前市文化センター 他問 武生国際音楽祭推進会議 事務局0778-23-5057 http://takefu-imf.com※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。それぞれの道を歩んだが、その基礎にあるものは共通しているに違いない。興味津々の共演である。演奏会の最初にはシューマンの「マンフレッド」序曲が演奏される。鈴木が近年、熱心に取り組んでいる初期ロマン派の管弦楽曲が楽しみだ。周年記念コンサート」(9/4)。ベリオが演奏の極限に挑んだ代表作「セクエンツァ」抜粋では、サクソフォンの大石将紀らトップクラスの奏者が超絶のソロを。ブーレーズのフルート(上野)とピアノ(北村)の「ソナチネ」は超難度のアンサンブルを聴かせる。 同時代の最先端の音楽の一方で、ファイナルコンサート(9/7)には市民合唱団も参加する。歴史を重ね育む「まち・ひと・みらい」をつくる音楽祭としてますます存在感を増している。
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