eぶらあぼ 2025.8月号
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9/10(水)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jp第5回 平井康三郎声楽コンクール第1次予選(非公開) 9/24(水)~10/2(木) 東京・名古屋・京都第2次予選 10/8(水) 東京/梅窓院・祖師堂本選 10/16(木) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール入賞記念コンサート 11/7(金)18:30 梅窓院・祖師堂問 「平井康三郎声楽コンクール実行委員会」事務局03-6403-9846https://www.arioso.co.jp/vocal-competition©Diana Montini©Shouhei Yokoyama白石光隆 ピアノリサイタル Vol.38めくるめく“音の情景”が現前する意欲的なプログラム平井秀明(平井康三郎声楽コンクール実行委員長)Interview58言葉に宿る感情を歌声にのせて 〜日本歌曲の巨星に光を当てる取材・文:室田尚子文:道下京子 白石光隆は、東京藝術大学大学院を修了後に渡米し、ジュリアード音楽院などに学び、1992年に帰国。彼は、クラシック音楽にとどまらず、さまざまなジャンルの音楽に取り組んできた。その揺るぎない作品理解を礎に、多彩な音色と生気に満ちたリズム感によって鮮やかな音楽を作り上げ、聴く者を虜にする。国内外のアーティストからの信頼は厚く、近年では5台ピアノによるユニット「ピアノ・ツィクルス」でも注目を集めている。 白石は、藝大大学院を修了した年から定期的にソロリサイタルを開催しており、 〈平城山〉〈ゆりかご〉〈とんぼのめがね〉などの歌曲で知られる平井康三郎は、軍歌をのぞくあらゆるジャンルに5000曲以上の作品を残したといわれている。そんな平井の名を冠した「平井康三郎声楽コンクール」が、今年第5回を迎える。実行委員長を務めるのは、平井の孫で指揮者・作曲家の平井秀明だ。 「幅広い年代の方にご参加いただいていますが、特に最近では若い世代の参加が増えています。私たちはこのコンクールが日本歌曲に触れるきっかけになれば、という思いを持っていますが、音大に入学した頃から日本歌曲を学ぶ学生さんが増えていること、またこのコンクールに参加したことがきっかけで日本歌曲のレパートリーを広げていく参加者がいるということもたいへん励みになっています」 コンクールは第1次予選、第2次予選、本選と課題曲(全て平井康三郎作品)が設定されているが、最近では、一般にはあまり知られていない埋もれた名作を選ぶコンテスタントも増えてきているのだという。中には、現在では楽譜が入手困難な作品もあるため、実行委員会会長でチェリストでもある父・平井丈一朗を中心に、楽譜の復刻出版も進めているそうだ。 「日本語の歌曲は難しい」というのはプロの声楽家からも聞かれることだこの9月で38回を数える。チャイコフスキーのバレエ音楽「眠りの森の美女」からの抜粋をはじめ、J.S.バッハ=ブゾーニ「トッカータとフーガ」BWV565やストラヴィンスキー「火の鳥」、バド・パウエルの「ハルシネーション」など、バロックからジャズに至るまで、繰り広げられるプログラムは音の絵画をイメージさせる。白石らしい生き生きとした音のスペクタクルを聴かせてくれるに違いない。が、平井は日本歌曲の重要性についてこう述べる。 「日本語の歌曲は、外国語と比べて、言葉に宿る感情が聴き手の心に直接響いてくるような表現が可能だと思います。一つひとつの音に深い意味が込められており、日本語を極めることで日本人ならではの歌唱表現ができるのではないでしょうか」 全国各地から応募者が集まってくるため、今年から第1次予選は東京・関西の他に中部での開催もスタート。参加人数の増加に伴い、コンテスタントのレベルも上がっている。 「第2次予選では誰が本選に進んでもおかしくないほど高いレベルの演奏が繰り広げられ、審査は困難を極めます。そうした中から本選を勝ち抜いたファイナリストの皆さんには記念コンサートに出演してもらいます。コンサートの前には希望者には個別に歌唱指導を行いますし、その後も様々なコンサートへの出演をオファーするなど、入賞者への積極的なバックアップ体制をとっています。今年5月に、岡倉天心が英語で書いた台本に私が作曲したオペラ《白狐》日本語版のアメリカ初演をニューヨークで行ったのですが、そこにコンクールの入賞者であるバリトンの長冨将士さんを抜擢し現地でも好評でした」 平井康三郎という日本屈指の歌曲作曲家を軸として、そこから世界に羽ばたく声楽家を生み出している本コンクール。出場者の応募は7月31日まで。今年はどんな逸材が登場するのか、とても楽しみだ。

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