侍BRASS 2025《遊戯三昧》巧くて愉しい、極上のエンターテインメント・ブラスアンドレア・バッティストーニ ©上野隆文撮影:藤本史昭 提供:東京オペラシティ文化財団アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団待望の定期登場で描く自然絵巻第1022回 サントリー定期シリーズ 9/11(木)19:00 サントリーホール第173回 東京オペラシティ定期シリーズ9/12(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第1023回 オーチャード定期演奏会9/14(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp47文:林 昌英文:柴田克彦 東京フィルの9月定期は、首席指揮者アンドレア・バッティストーニが登場する。怪我があって春の来日が叶わず、昨年11月以来の共演となるため、通常以上の期待を集める舞台となりそうだ。プログラムは自然をテーマとする、20世紀前半のオーケストラ作品2曲。 注目したいのは、ピツェッティの「夏の協奏曲」。20世紀イタリア作曲家の紹介に熱心なマエストロならではの選曲で、演奏機会の稀少なピツェッティ作品を実演で聴ける貴重なチャンスとなる。ロマン派の作風を引き継いだ、巧みなオーケストレーションを誇る実力者で、1940年には日本政府の委嘱で「皇紀2600年奉祝曲」として「交響曲」を書いたことも知られる。しかも1928年作の「夏の協奏曲」は、日本初演が東京フィルという縁もあるという。3楽章構成でイタリアの風景と夏の空気感が、壮麗な響きのなかから爽やかに伝わる、匠の技が光る佳品だ。 夏の風物詩「侍BRASS」が、20回目(20年目!)の東京オペラシティ公演を行う。彼らは、トロンボーンの中川英二郎、トランペットのエリック・ミヤシロらジャズ&スタジオ系の達人と、在京楽団のトップ級奏者らクラシック系の名手が融合した10人編成のブラス・アンサンブル。ユーフォニアムを加えた稀な編成も特徴だ。そしてジャンルを超えた豊潤なサウンドと抜群のテクニック、和のテイストにこだわったオリジナル曲とセンスの良いアレンジによる巧みなプログラム、何より“愉しいステージ”で熱い支持を獲得。20年もの継続が人気と実力の高さを如実に証明している。 今年のテーマは「遊戯三昧(ゆげざんまい)」。団長の中川は「何ものにもとらわれず自由自在に遊ぶことを意味する仏教の言葉。それゆえ仏や神、また広い意味での遊びにまつわるレパートリーを選んだ」と語る。中川の新曲「遊戯三昧」は、「“ソロからラージアン さらに話題となりそうなのが、R.シュトラウス「アルプス交響曲」。特殊楽器も多い大管弦楽を駆使して、アルプス登山の日の出から日没までを描く大作。かつ自然描写でありながら、人間の生涯にも重なる懐の深い内容をもち、豊かな旋律美や精緻な色彩美にもあふれた人気作である。大編成の華やかな楽曲で名演を実現してきたバッティストーニの「アルペン」となれば、期待は膨らむサンブルまで”“ジャズからクラシックまで”という侍BRASSの2本の軸を自在に行き来する作品」(中川)というから実に楽しみ。このほか、中川の「鳳凰の舞」では重厚さ、同じく「御町屋」では軽快なサウンドを味わえるなど、オリジナル曲はどれも期待値が高く、新アレンジのドリーブ「バッカスの行進」やエリック編曲の「バードランド」等、クラシックやポップス作品も大いに胸を弾ませる。 中川らの名人芸的ソロやエリックの8/31(日)15:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jpばかり。まだまだ猛暑が残っているであろう9月の半ば、美しくも迫力満点の“夏と自然”の光景を、ホールでたっぷり味わうのも一興だろう。超絶ハイトーンも恒例の聴きもの。とにかくエンターテインメント性に富んだステージは、一般の音楽ファンも感嘆しつつ楽しめること請け合いだ。
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