Vol.36 千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部「バーミンガム市響との共演」という天からの贈り物取材・文・写真：オザワ部長（吹奏楽作家）バーミンガム市響との本番の様子（6/30 東京オペラシティ）©Junichiro Matsuo 指揮台に立つのは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との初共演を成功させたばかりのマエストロ、山田和樹。演奏するのは、イギリスを代表するオーケストラのひとつ、バーミンガム市交響楽団。ドミートリイ・ショスタコーヴィチ作曲《祝典序曲》が華々しくも力強く奏でられる中、曲の終盤になってオーケストラの後方、パイプオルガンの前に10人の金管奏者が現れる。トランペット3人、トロンボーン3人、ホルン4人――制服に身を包んだ高校生たちだ。 顔立ちにあどけなさが残る10人はマエストロの指揮に合わせ、バンダとして演奏に加わった。照明にきらめく楽器から思い切りのいい音が放たれた。海外の一流プロオケの上質なサウンドの上に、伸びのある若々しい響きが乗り、まさに「祝典」にふさわしい喜びの音楽が広がった。 稀有な経験をした10人の高校生たちは、千葉県立幕張総合高校シンフォニックオーケストラ部（通称・幕総オケ部）の部員だ。 幕総オケ部は、「オーケストラ部」でありながらも管楽器中心の吹奏楽編成で吹奏楽コンクールにも40♪♪♪出場している。2023、2024年と全国大会で金賞を連続受賞している注目の存在だ。今年の部員数はなんと219人という大所帯である。 バーミンガム市響とのバンダ共演に選ばれた10人はすべて3年生だった。副部長でホルンを担当する増田桃子は、こう振り返る。「最初にバンダの話をいただいたときは、どうなるのか想像もつきませんでした。本番当日のリハーサルでは緊張していましたが、私たちがホールに入るとバーミンガム市響の皆さんが手を振ってくださり、温かな空気感が嬉しかったです」 桃子たちは6月30日の東京オペラシティ、7月2日のサントリーホールに出演した。「1回目はお客さんの後ろを通ってパイプオルガン
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