□□□□□□ベルリン州立歌劇場のムソルグスキー「ホヴァンシチナ」にはテノールのシャーガーが出演。これまた注目公演。 これ以外の注目オペラでは、ウィーン国立歌劇場のプーランク「カルメル派修道女の対話」(ティチアーティ指揮)、ヤナーチェク「マクロプーロス事件」(ハヌス指揮)、ベルリン・ドイツ・オペラのジョルダーノ「フェドーラ」(ミクネヴィチウテ、テテルマン出演)、バーデン=バーデン秋の音楽祭のロッシーニ「チェネレントラ」(ヘンゲルブロック指揮)、チューリヒ歌劇場のヴェルディ「運命の力」(ネトレプコ出演)、ミラノ・スカラ座のモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」、パリ・オペラ座のワーグナー「ワルキューレ」(ビエイト演出)、英国ロイヤル・オペラのヤナーチェク「マクロプーロス事件」(フルシャ指揮、ミッチェル演出)などとても挙げきれないほど注目作が多い。 オーケストラもナガノとメッツマッハーの指揮するベルリン・ドイツ響、ブロムシュテット指揮のNDRエルプフィル、ロト指揮のSWR響、サロネン指揮のパリ管など定番注目公演もあるが、日本人としての要注目は、沖澤のどか指揮のロンドン・フィルと鈴木優人指揮のパリ管。日本人の活躍は山田和樹ばかりではない! 【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演◎11月11(19:00)、23(19:00)日 世界を忘れよう−フォルクスオーパー1938年(Lass uns die Welt vergessen-Volksoper 1938)(J.ベネシュの「ヴァッハウからの挨拶とキス」(1938年にフォルクスオーパーで上演予定だったオペレッタ。ナチス侵攻により公演中止)の残存資料からK.カガルリツキーがスコアを再構築) 演出/T.ボアマンス11月15(19:00)、28(19:00)日 J.シュトラウスII:こうもり 演出/R.ヘルツル◎11月26(20:00)日 N.シュトルンク、L.シュレンク、G.カゼス:キリング・カルメン(Killing Carmen)(ビゼーの「カルメン」を元に様々なアレンジを施したオペラ・ミュージカル)[25年10月プレミエ] 指/G.カゼス、演出/N.シュトルンク、L.シュレンク★◎11月29(17:00)日 M.アイゼンライヒ:シンデレラの夢(J.シュトラウスのスケッチによる)[プレミエ] 指/L.スガナンダラージャ、演出/A.ラニシュ[会場:ムジークフェライン(ウィーン)]◎11月1(15:30)、2(11:00)日 C.ティーレ(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)マン指揮 S.ムーサ:エリジウム、ブルックナー:交響曲第5番[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(BB)=祝祭劇場(バーデン=バーデン)、(AMS)=コンセルトヘボウ(アムステルダム)、(FRA)=アルテオーパー(フランクフルト)、(HAM)=エルプフィルハーモニー(ハンブルク)、(HAJ)=クッペルザール[コングレス・ツェントルム](ハノーファー)、(KOL)=フィルハーモニー(ケルン)、(BER)=フィルハーモニー(ベルリン)、(BUD)=ベラ・バルトーク国立コンサート・ホール[ブダペスト芸術宮殿](ブダペスト)、(MUC)=イザールフィルハーモニー(ミュンヘン)、(ESS)=フィルハーモニー(エッセン)、(FRB)=コンツェルトハウス(フライブルク)]◎11月2(17:00)(BB)、9(20:00)(KOL)、14(19:00)(ESS)日 P.ポペルカ指揮 ワーグナー:ファウスト序曲、グリーグ:ピアノ協奏曲(2日)/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番(9日)/ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲(14日)、モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」 独/J.リシエツキp(2日)/L.シュテルナートp(9日)/A.ヴィニツカヤp(14日)◎11月3(20:15)(AMS)、4(20:00)(FRA)、5(20:00)(HAM)、6(19:30)(HAJ)、12(19:30)(BUD)、15(19:00)(FRB)日 P.ポペルカ指揮 グリーグ:ピアノ協奏曲(3日)/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番(4/6日)/ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲(5/12/15日)、マーラー:交響曲第1番「巨人」 独/J.リシエツキp(3日)/L.シュテルナートp(4/6日)/A.ヴィニツカヤp(5/12/15日)◎11月10(20:00)(BER)、13(19:30)(MUC)日 P.ポペルカ指揮 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、交響曲第7番 独/A.マロフェーエフp◎11月19(19:30)(MV)、20(19:30)(MV)日M.ジャコ指揮 K.ヒョーゲション:Between ウィーン国立歌劇場◎11月1、4、7日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ 指/C.コンツ、演出/B.コスキー、出/M.オリヴィエーリ、T.ナズミ、A.ザハリア◎11月2、5日 ドビュッシー:ペレアスとメリザンド 指/A.アルティノグリュ、演出/M.A.マレッリ、出/J.テジャン、M.ボヒネク、R.ヴィリャソン、S.キーンリーサイド◎11月6、9、12、15日 グノー:ファウスト 指/F.シャスラン、演出/F.カストルフ11月8、11、14、17日 ヴェルディ:ファルスタッフ 指/P.G.モランディ、演出/M.A.マレッリ、出/A.マエストリ11月16、19、22、25日 ドニゼッティ:ランメルモールのルチア 指/R.アバド、演出/L.ペリー◎11月20、23、26、29日 プーランク:カルメル派修道女の対話 指/R.ティチアーティ、演出/M.フックスベルガー、出/O.クルチンスカ、B.ヴォルコフ、M.モトリジナ◎11月30日 ヤナーチェク:マクロプーロス事件 指/T.ハヌス、演出/P.シュタイン、出/M.ペーターゼン、B.スコウフスウィーン・フォルクスオーパー◎11月1(18:00)、8(18:00)、18(19:00)、24(19:00)、27(19:00)日 J.シュトラウスII:ヴェニスの一夜[25年10月プレミエ] 演出/N.スペイケルス11月2(18:00)、5(19:00)、9(18:00)日 F.ロウ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ブラウアー=クヴァム11月3(20:00)、19(20:00)日 Ein bisschen trallalala(F.マサリーとM.パレンベルクへのオマージュ) 演出/M.グレートラー11月7(19:00)、14(19:00)、21(19:00)日ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー11月9(11:00)、23(11:00)日 J.アロウアス:ボタン戦争 演出/J.アロウアス 昨年も同じ時期に触れたとおり、例年11月にはヨーロッパのメジャー・オーケストラが大規模な国外ツアーを行う例が非常に多い。なるほど、ベルリン・フィルもウィーン・フィルもコンセルトヘボウ管もこの11月には日本に来る。逆にそれらのオケの現地での11月公演はごく数回程度。しかも来日前のタイミングであれば、まさに日本公演と同じ曲目であることが多い。ただ、現地での公演には、日本ではやらない曲目が入っていることも少なくない。例えば、ウィーン・フィルが11月初めに本拠地で行う演奏会には、日本公演の曲目にはないカナダ出身、ベルリン在住の作曲家サミー・ムーサの「エリジウム」という曲がブルックナーの交響曲第5番の前に演奏される。もちろん指揮はティーレマン。ちょっとオタクの音楽ファンなら、これも是非聴きたいところだろうが、残念ながら海外公演には組み込めない諸事情があるのだろう。聴きたいということならば、現地に行くしかない。 ちなみに、昨年の11月に日本公演を行ったラトル指揮のバイエルン放送響は、今年はイギリス、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、スペインと大々的なヨーロッパ・ツアーを行う。ウィーン響やミュンヘン・フィルなども、規模の大小はあれど、同じくヨーロッパ・ツアーを予定。しかも、ウィーン響の指揮者はポペルカ、ミュンヘン・フィルの11月の見もの・聴きもの指揮者はソヒエフと、現代の中堅指揮者陣(ポペルカはコントラバス奏者から指揮者に転向して9年目の若手とも言えなくはないが…)を牽引する注目指揮者が率いている。こうしたツアーを狙って本拠地以外のホールで同じオケの響きの違いを聴くのも、また一興かもしれない。 ところで、話変わって、同じ演目のオペラや同じ地域性を持ったオペラが同一月に競合するというケースはそれほど珍しいことではないが、11月にはロシア系の面白そうなオペラのプレミエ公演がいくつか並んでいる。まずは、ハンブルク州立歌劇場のグリンカ「ルスランとリュドミラ」。序曲ばかりがやたらと有名なオペラだが、ロシア以外で全曲が演奏されることははっきり言ってほとんどない。60歳を過ぎてもまだまだ元気な名ソプラノ、アンゲラ・デノケも出演予定。次にフランクフルト歌劇場のムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」。グックアイスの指揮、キース・ウォーナーの演出というから平凡な上演ではなさそうだ。続いてバイエルン州立歌劇場のリムスキー=コルサコフ「クリスマス・イヴ」。12月にかけての季節感を狙った企画ではあろうが、コスキーの演出が当たれば、これも要注目。そして最後は、オランダ国立オペラのチャイコフスキー「オルレアンの少女」。こちらもチェルニアコフの演出が楽しみだ。この他にもプレミエではないが、アン・デア・ウィーン劇場◎11月17(19:00)、19(19:00)、22(19:00)、24(19:00)、26(19:00)日 チン・ウンスク:不思議の国のアリス(L.ムーアと作曲家自身の協力による短縮オーケストレーション版) 指/S.ツィリアス、演出/E.シュテップラー、演奏/ウィーン放送響11月23(19:30)日 〔J.シュトラウス生誕200年記念オペレッタ・ガラ〕 E.タイス指揮 J.シュトラウスIIの作品集 独/D.ダムラウS、M.ダングル(俳優)、演奏/ベルリン古楽アカデミー◎11月25(19:00)日 ヘンデル:インドの王ポーロ(演奏会形式) 指/M.パストゥスカ、出/M.E.チェンチッチ、J.レージネヴァ、L.リシャルド、演奏/{オー!}オルキエストラウィーン・フィル〔Ⅰ〕オーストリア124ウィーン響曽雌裕一 編2025年11月の
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